「チョコラBB」の医薬品メーカー 抗がん剤「レンビマ」が急成長

エーザイは大手の医薬品メーカーです。1941年に日本衛材として設立し、1955年に社名をエーザイへと改めました。医療用医薬品はがん領域と神経領域で強みを持ちます。また、一般用医薬品「チョコラBB」のメーカーでもあります。25年5月には高齢者見守りのエコナビスタを買収しました。

主要製品は抗がん剤の「レンビマ」です。2015年にリリースされた比較的新しい製品ながら、25年3月期はレンビマだけで3200億円超を売り上げ、連結の4割超を占めました。レンビマを巡っては、25年5月に米国での特許侵害訴訟に勝訴したことから、独占的な販売期間の延長が期待されています。

【エーザイの主な製品の売上収益(2025年3月期)】

<がん領域:計3658億円>
・レンビマ:3285億円

<神経領域:計1999億円>
・デエビゴ:538億円
・レケンビ:443億円
・アリセプト:251億円

出所:エーザイ 決算参考資料

かつてはアルツハイマー型認知症の治療薬「アリセプト」が主力でした。しかし特許切れを迎えたことから、現在はレンビマがエーザイの屋台骨となっています。また、近年は「レケンビ」や「デエビゴ」が順調に立ち上がっており、売り上げの貢献が始まっています。

エーザイの主な製品の売上収益(2016年3月期~2025年3月期)を表した図表
 
出所:エーザイ 決算参考資料より著者作成
 

セグメントは主に地域別で整理されています。利益はアメリカス(北米)が中心です。主力のレンビマは売り上げの7割をアメリカスが占めており、重要な市場となっています。先述のとおり、米国はトランプ大統領が薬価の引き下げを表明しており、影響が懸念されています。

【エーザイのセグメント業績(2025年3月期)】 

エーザイのセグメント業績(2025年3月期)を表した図表
 

※EMEA…欧州、中東、アフリカ、ロシア、オセアニア
※イーストアジア・グローバルサウス…韓国、台湾、インド、アセアン、中南米、南アフリカ等
※その他事業はライセンス収入および医薬品原料などにかかる事業

出所:エーザイ 決算短信