◆国内株ファンドでは「TOPIX」が優位

SBI証券の売れ筋ランキングでは、国内株ファンドについて「日経平均株価」に連動するインデックスファンドがトップ10から落ち、代わって「TOPIX(東証株価指数)」に連動するインデックスファンドがトップ10にランクインした。この人気の差は、パフォーマンスの違いを反映したものと考えられる。

「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」は、4月上旬の株価急落時において2024年12月末比でマイナス21%の水準まで下落し、5月末時点でようやくマイナス5%程度の水準に戻った。これに対し、「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」は4月上旬の下落率がマイナス17%程度とやや軽微となり、5月中旬には2024年末水準にまで基準価額が戻った。2025年には一貫して「TOPIX」は「日経平均株価」を上回る成績を続けており、この結果が「TOPIX」の評価につながっている。

一方、4月にはランキングの第4位にまで人気が上昇した「SBI 日本株4.3ブル」は5月に失速した。同ファンドは4月7日に年初来マイナス70%の水準に下落した後、4月末にはマイナス50%程度の水準へと急速な戻りを見せたものの、5月に入って動きが鈍った。米国の関税政策によっては企業業績が大幅に悪化する企業が少なくない中で日米の貿易交渉が遅々として進まず、今後の国内株式市場の行方が不透明になっている。わずか3カ月余りで価格が半値以下になってしまうリスクがある同ファンドに対して株価の上昇期待が感じられないとなかなか新規投資には踏み切れないだろう。同ファンドが売れ筋ランキングで大きく後退した背景には、次の一手が見えないという投資家のジレンマが表れていると考えられる。

 

執筆/ライター・記者 徳永 浩