SBI証券の投信売れ筋ランキングの2025年5月のトップ3は前月と同様に「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(通称:オルカン)、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」の順だった。第4位には前月の第5位から「iFreeNEXT FANG+インデックス」が上がり、前月第4位の「SBI 日本株4.3ブル」は第8位にまで後退した。相対的にインデックスファンドに対して優位なパフォーマンスを残している「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」(愛称:世界のベスト)が第6位に上がった。また、前月第10位だった「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」に代わって「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」が第10位にランクインした。

 

◆インデックスファンドを上回った「世界のベスト」

5月は月次で米国株価指数「S&P500」は6.15%高と6カ月ぶりに大幅に反発し、5月末時点では2024年12月末時点の水準を上回った。「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は4月9日には昨年末比でマイナス23%の水準にまで下落しており、そこからは急速に値を戻している。ただ、為替水準がドル円で昨年末の1ドル=156.23円と比較すると5月末は143.82円と大幅な円高・ドル安水準にあり、このため為替ヘッジなしの「S&P500」連動型のインデックスファンドは前年末を10%程度下回る水準になっている。

この「S&P500」に対して、より鋭角的なパフォーマンスになったのが「iFreeNEXT FANG+インデックス」だった。4月9日時点では、前年末比マイナス30%の水準にまで下落したものの、5月末時点では「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」を上回る水準にまで基準価額が回復している。高配当株式で構成されたインデックスに連動するETF「SCHD」に投資する「SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)」は4月9日の下落率こそ「S&P500」と比較して小さかったものの、その後の戻りの勢いに乏しく5月末時点の基準価額は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」を下回る水準になっている。一方、全世界株式に分散投資している「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は、米国株式と比較して4月9日の下落率がやや小さかったこともあって戻り相場でも先行して価格が戻っている。

インデックスファンドの動きと比較すると「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」の推移は一歩先んじている。毎月1万口当たり150円の分配金を継続し、5月末時点では分配金込みの基準価額がおおむね2024年末と同じ水準にまで上昇した。これは、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が2024年末比95%程度の実績であることと比較しても優れた成績だ。時価総額の上位銘柄から優先的に組み入れていく「株式インデックス」と違って、個々の企業調査の結果を重視して組み入れの可否や組み入れ比率を細かく調整しているアクティブファンドの実力が発揮されたといえよう。特に、景気の見通しに不透明感があり、株式市場が不安定な折には、株価の形成に企業業績が大きな手掛かりとなる。先行き不透明で不安定な時にこそ、優れたアクティブファンドが浮かび上がってくるといえる。