新しい経営計画を公表 回収強め2030年まで年8%の利益成長を目指す
2025年3月期の本決算では新しい経営計画も公表されました。従来は3年ごとに策定していましたが、今回から一定期間は計画を維持する「長期経営方針」と3年ごとに見直す「3カ年計画」の2つに分けて公表されています。
長期経営方針の計画期間は今期(2026年3月期)~2030年ごろです。財務指針は、金利の上昇を見込むなか、おおむね現状を維持する内容です。事業利益は年平均8%水準の成長を目指すとしており、期間を6年間とみるなら事業利益は1985億円に達します(2025年3月期:1251億円)。
【長期経営方針の主な財務指針】

※株主還元方針は総還元性向40~50%またはDOE(株主資本配当率)4%のいずれか高い方
3カ年計画では、より具体的な計画が示されました。期間中は不動産開発を中心に2兆500億円を投じる一方、回収も1兆7000億円を計画します。前3カ年と比べ投資額は3700億円の増加、回収額は6600億円の増加となっており、差し引きでネット投資額は2900億円の減少です。回収を強化することでバランスシート拡大の抑制を狙います。
3カ年の事業利益の成長目標は年平均8.5%です。不動産開発は主力の住宅と都市開発が堅調に伸びる想定です。また、海外も高い成長を見込みます。けん引役は収益不動産の売却益です。住宅で年100億円強、都市開発で年400~500億円強を想定します。サービス型の事業は資産運用を中心に伸長する見通しです。
【各セグメントの事業利益計画(~2028年3月期)】
・住宅:630億円(+29.4%)
・都市開発:520億円(+25.0%)
・海外:110億円(+66.7%)
・資産運用:130億円(+32.7%)
・仲介・CRE:200億円(+21.2%)
・運営管理:110億円(-7.6%)
・連結:1600億円(+27.9%)
※()は2025年3月期実績比
出所:野村不動産ホールディングス 経営計画
長期経営方針から、当面は投資の回収が増え、収益は増勢が続くとみられます。保有物件の入れ替えを進めつつ、利益の成長を目指します。
文/若山卓也(わかやまFPサービス)