賃貸の人のウェルビーイングを考えてみると

ワンルームマンションの部屋を振り出しに社会人人生をスタートした、あるいは社会人になって数年で実家を出て一人暮らしを始めた、という人は多いでしょう。

賃貸暮らしは、社会人人生の初期に多くの人が通る道です。マネープラン的には家賃の負担は重く、若い世代にとっては苦しいやりくりが求められます。

一方で、実家を出て自由を手に入れる、という幸福感も味わいます。何時に起きても、何時に帰宅しても、昼間ぐうたらしていても怒られることはありません。これをウェルビーイングというかはちょっと微妙に思えるかもですが、自己決定権があるというのはウェルビーイングにとっては重要な要素のひとつなのです。

一般的には、アラフォー世代になった頃にマイホームを購入する傾向がありますが、近年では賃貸暮らしを長期化させる人が増えています。「生涯賃貸派」と呼ばれるような人たちです。

彼らが主張するのは、ひとつ所にとどまるほうがリスクである(物件の価格下落や隣人トラブルなど)という考え方です。それよりも賃貸のほうが精神的には気が楽ということでしょう。

対して、持ち家の人のウェルビーイングは

多くの人が社会人人生の中盤になるとマイホームの取得を検討し、実行します。全額を現金払いするには家はあまりにも高額ですから、頭金として部分的に事前準備し、残りの金額は住宅ローンを設定、数十年をかけて返済を行うのが普通です。ローンの返済が終われば、その家は自分の資産となります。

持ち家の取得がウェルビーイングに与える影響としてはやはり、「家がある安心」があげられます。自分の資産として家を持つことができれば、一生涯そこに住み続けることができます。家族の拠り所としての「場所」があることを幸せと考える人もいるでしょう。

アットホーム株式会社の調査によれば、マイホームの購入で幸福度がアップした、と回答した人は91.4%とほとんどで、さらに幸福度のアップは平均52.0%プラスとほぼ1.5倍に高まったそうです。

今、一人暮らしをしている若い人も、親が住む実家があることを安心と感じたり、故郷があることを幸せの一部と捉えている人は多いと思います。