株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、海の見えるカフェでコーヒーを飲みながら投資談義を行っています。

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T:4月になりました。桜も開花して、いよいよお花見シーズンですね。

神様:お花見もいいですが、4月は「大阪・関西万博」がスタートします。4月13日から10月13日までの184日間、大阪・夢洲で開催されます。Tさんが注目するイベントは何ですか?

T:そうですね…今のところそれほど盛り上がりを感じないのは、まだ開催前だからでしょうか? どんな注目パビリオンがあるのかも、実はよく分かっていません。

神様:それはもったいないことです。日本で初めて開催された万博は、1970年の大阪万博です。芸術家の岡本太郎がデザインした「太陽の塔」は、この万博で作られました。あれから55年、再び大阪で開催される万博に、胸が熱くなりませんか?

T:なるほど。あの時代から日本もずいぶんと変化してきました。大阪・関西万博の開催中、昔を思い出す気持ちが刺激されるかもしれませんね。

神様:さて、1970年の大阪万博では、会期中の総入場者数は約6,421万人でした。そのうちほとんどが日本人観光客で約6,251万人、外国人観光客はわずかに約170万人でした。今回の一つの注目ポイントは、外国人観光客かもしれません。政府が発表した2025年2月の訪日外国人客数は前年から16.9%増となる3,258,100人で、2月として初めて300万人を突破しました。万博で日本食や日本文化を海外から来た人に楽しんでもらえれば、ひとつの成功と言えるかもしれません。

T:なるほど。国内から見た万博と海外から見た万博は注目ポイントも違いますよね。私たちも海外から見た注目ポイントを楽しみたいものですね。

神様:それでは、今回はひとつ「アニメ」に注目しましょう。日本アニメは世界に誇れる文化です。万博も日本のアニメを発信する大きな機会となるでしょう。

T:そう言えば、「クールジャパン戦略」もリニューアルしたと聞きました。

神様:よくご存知ですね。政府は漫画やアニメ、ゲームなど日本の「IP(知的財産)」を活用したコンテンツ産業を「基幹産業」に位置づけ、2024年6月に「新たなクールジャパン戦略」を策定しました。この中では、2033年までに日本発のコンテンツの海外市場規模を20兆円に拡大することを目標に掲げています。現在の市場規模は、2022年の実績で4.7兆円です。

T:20兆円ですか? それは実現可能なのでしょうか?

神様:世界のアニメ市場規模を見ると、2024年の300億ドルから2036年には983億ドルまで拡大し、年率12%で成長を続けると予測されています。今、日本のアニメは世界中でブームとなっており、2024年時点でシェア40%以上を誇ります。今後も高いシェアを維持するでしょう。

 

T:それはすごいですね。

神様:アニメ制作会社の業績も向上しています。2023年(1~12月期決算)において、制作態様別に平均売上高を見ると、直接制作を受託し完成させる能力を持つ「元請・グロス請」では前年比で37.2%増となる23.63億円、下請としてアニメ制作に携わる「専門スタジオ」では前年比で6%増となる3.91億円となりました。

 

T:全体的に売上高が増加している状況なのですね。アニメ産業が基幹産業とは、なんだか夢があります。

神様:そこを本気で狙っているのが今の日本です。しかし、“夢”で終わらせないためにも、「新たなクールジャパン戦略」では、現在のアニメ産業の問題点を多数挙げています。例えば、PDCAサイクルの欠如、独自プラットフォームの欠如、国内市場向け中心のコンテンツ、再投資のエコシステムの未構築、クリエイターが活動する環境の整備が不十分であること、人材不足など、これらの課題をひとつひとつ克服していくことが、アニメ産業の発展に欠かせません。大阪・関西万博も、これら課題に向き合い、取り組む場でもあるのです。

T:なんだか万博を見る目が変わってきました。

神様:アニメ産業は全体的な売上高が増加した一方で、IP(知的財産)保有の有無による収益力の格差拡大も確認されています。産業発展の原動力となるIP保有・創出をいかにして行っていくか、制作会社を中心としたアニメ関連企業に注目していきましょう。