厚生年金保険料への影響を確かめるには?
公的年金は、定額部分の国民年金(基礎年金)と報酬比例部分の厚生年金の2階建ての仕組みです。選択制確定拠出年金で保険料が減少する際に影響が出るのは、後者の報酬比例部分です。
<報酬比例部分の原則的な計算方法>
報酬比例部分 ア)+ イ)
ア)平成15年3月までの期間⇒平均標準報酬月額(月の平均)×7.125÷1000×加入月数
イ)平成15年4月以降の期間⇒平均標準報酬額×5.481÷1000×加入月数
報酬比例部分の年金額の計算方法は2種類あり、平成15年3月までの期間と平成15年4月以降の期間で異なります。平成15年3月までの期間は、標準報酬月額に基づいて計算され、平成15年4月以降の期間は、標準報酬額に基づいて計算されます。時期によって計算方法に違いがあるのは、賞与が保険料の算定に加味されるようになったことが関係しているためです。現在は平成15年4月以降の計算式が適用されます。
具体例で見る厚生年金減少額
では、ケース②報酬月額50万円(標準報酬月額50万円、27等級)の人が、毎月2万円を選択制確定拠出年金に拠出する場合を例に減少額を確かめてみましょう。
<厚生年金減少額の試算:ケーススタディ2>
イ) 減少標準報酬額 3万円 × 5.481 ÷ 1000 × 240カ月 = 3万9463円/年
⇒65歳から受給開始 85歳まで20年間受け取るとした場合の減少額
3万9463円 × 20年 = 78万9260円
計算の結果、年額3万9460円の減少となりました。65歳から85歳までの20年間受け取るのであれば、合計78万9260円の減少となります。
前回記事の試算では、ケース②の人が60歳までに毎月2万円の掛金を拠出し、運用収益が3%とした場合、227万円のメリットが生まれました。よってケース②の場合、最終的に厚生年金額が78万9260円減少したとしても、選択制確定拠出年金を利用する方がメリットは大きくなると言えそうです。
自身のケースを確認して安心して運用を
今回紹介したケースのように、選択制確定拠出年金の利用で公的年金額が減少したとしても、最終的にはプラスの結果となる可能性もあります。初めに自分のケースでは年金額に影響があるかどうかを確認しておくと、安心して運用に取り組むことができるでしょう。また会社によっては、厚生年金への影響(減少額)を確かめるためのシミュレーションツールを用意しているところもあります。試算に自信がない方は、会社の担当者に尋ねてみることも有効です。