新卒が退職を決断する2つのギャップ
新卒が退職を決断するギャップは大きく分けて、契約上とメンタル面での2つがあります。
契約上のギャップは、木村さんの例と同じように、即退職につながります。
「正社員採用と言われたのに、半年間は契約社員だった」
「営業職で入社したはずが事務職に配属。勤務地も近隣支店ではなく、片道2時間かかる支店になった」
「『髪色自由』と面接で言われたが、入社式で『それじゃダメ』と否定された」
もうひとつのメンタル面でのギャップは、仕事内容や環境に対するものです。新卒側のリサーチ不足と言えるものもあります。
「介護職で入ったけど、入社前アルバイトで想像以上の肉体労働で限界を感じた」
「先輩が怒鳴られている姿を見て、いつか私も怒られるかもしれないと思ったら怖くなった」
「充実した研修制度と書いてあったのに、数日で現場に立たされた」
ギャップによる離職を防ぐためには、事前にリアルな職場環境を説明し、新卒の期待値を上げすぎないことも大切です。
入社式の声出しに違和感を覚え即退職
昨年の春は、多くのメディアから「新卒1か月以内に辞める若者」の取材を受けました。せっかく苦労して新卒で入ったのに、すぐにその会社を辞めるのが上の世代の方々には信じられないようです。
今は転職が当たり前の時代です。どれほど手厚く接しても、新卒は「合わない」と思えば、すぐに辞めてしまいます。入社式で声出しがあったり、社長が無計画な夢を語ったりするだけで、「合わない」と感じる新卒も数多くいます。そのため、何度も面接をして採用するよりも、1~2か月でもいいから実際に働いてもらうほうが「ギャップ」は防げるでしょう。
ギャップをなくそうと、入社前にアルバイトをしてもらったところ、かえってギャップが深まり、退職代行に依頼するケースもあります。このような場合は、遅かれ早かれ退職していたでしょうから、早いうちに埋められないギャップがわかったのは、双方にとって良かったと思うしかありません。
※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。