60歳からの新しい人生に見えてきた安心と希望
幸いにも、我が家の家計管理については永沢さんから合格点をもらいました。夫とは結婚した頃から互いに隠し事をしない約束で、共働きでも財布は一緒にしてきました。家計簿をつけるのは私で、夫は“監査役”といった位置付けです。
「使途不明金はほぼないし、教育費の負担がなくなった後はちゃんと貯蓄もできている。ご主人は投資でしっかり増やしているし、住宅ローンもあと2年で終わるから、今すぐ完全リタイアしても十分やっていけます!」
盲点だったのは、私の“隠れ資産”でした。私はもともと新しもの好きで、金融商品もその時々の流行りものに手を出してきました。しかし、月日が経つとそんなことはころりと忘れてしまい、放置したままのものが幾つもあったのです。
懸賞付き定期預金、初期のネット定期、MRF……私が記憶をたどりながら金融商品の名前を挙げていくと、永沢さんは「あったね~、そういうの。平成の初めの頃だよね」と懐かしそうに目を細めていました。残高を計算したら、なんと100万円近くに上りました。それも踏まえて永沢さんからは、「預け先の一元化、クレジットカードの集約なども少しずつ進めておく必要がある」とアドバイスされました。
「女性の場合は還暦を迎えても平均寿命まで30年近い人生が残っているし、今の60歳は皆さん若い。それでも還暦は還暦。資産運用なら増やすことより維持すること、モノは極力減らしていくことを考えていかないとね」
永沢さんの話を聞いて、自分もそういう年代になったのだなぁとしみじみ思った次第です。
「でも、これからは時間がたっぷりあるんだから、お金と相談しながら好きなことができるよ!」
そういう永沢さんはコロナ明けから「山と温泉を巡る旅」をスタートし、仲間と月に1度は低山歩きをしているそうです。高校時代に登山部だった私も一度ご一緒させてもらう約束を取り付けました。
永沢さんと出会わなかったら、今頃も退職金での投資や、何歳まで仕事を続けるべきかで悶々としていたと思います。今後は半年から1年ごとに面談をお願いしていく予定ですが、定年という大きな節目に、永沢さんのような「人生の道先案内人」を得られたことを神様に感謝しています。
※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。