株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、公園を散歩しながら投資談義を行っています。
神様:日本政府観光局によると、2024年の訪日外国人観光客数は3,686万人で、過去最高だった2019年の3,188万人を上回り、過去最高記録となりました。
T:外国人旅行者は順調に増えているようですね。
神様:政府は観光を成長戦略の柱、地域活性化の切り札と捉え、各施策を実施しています。安倍政権時に策定された「明日の日本を支える観光ビジョン」では、2030年の訪日外国人旅行者目標数を2015年の3倍となる6,000万人と定めています。
T:6,000万人ですか。あと5年で達成できるのでしょうか?
神様:道半ばではありますが、現在、目標に向けて大きく前進してると言えるでしょう。2023年に定められた観光立国推進基本計画(第4次)では、2025年に2019年の訪日客数3,188万人を超えることを目標としていましたが、実際には2024年で達成できたことになります。
T:なるほど。前倒しで目標達成ができているわけですね。
神様:さらに、2025年1月の訪日外客数は3,781,200人となりました。これは過去最高だった2024年12月の3,489,800人を大きく上回り、単月の過去最高記録です。2月以降が気になるところですが、今年は4月から大きなイベントが控えています。目標達成に向けて2025年は重要な年となるでしょう。
T:4月13日(日)に開幕する大阪・関西万博ですね。10月13日(月)までの184日間、開催されます。どのような効果が生み出されるのか期待ですね。
神様:そうなると、重要なのは受け入れ側の体制です。想定以上に多くの訪日客が訪れてもしっかりと対応できる”土台”がなければ、成長戦略も地域活性化も実現できません。航空各社も運航便数を増やしています。2月24日には中野国土交通大臣が成田空港を訪れ、空港の機能強化や地域との連携について視察しました。拠点となる各空港の拡張も進められており、2030年に向けてさらなる便数増加が見込まれます。
T:今後、日本の空の玄関が更に活性化されそうですね。
神様:国土交通省では「持続的な発展に向けた空港業務のあり方検討会」を開催し、グランドハンドリングなどの航空機の運航に不可欠な空港業務の発展のための取り組みなどを検討してきました。今後はしっかりとした体制づくりを形にしていくことが求められています。
T:初めて聞きましたが、「グランドハンドリング」とは何でしょうか?
神様:グランドハンドリング(グラハン)とは、空港において航空機運航の地上支援を行う仕事の総称です。主に顧客の搭乗などをサポートする「旅客ハンドリング」、航空機へ手荷物や貨物などの搭降載を行う「ランプハンドリング」、航空機に貨物を積むための調整を行う「貨物ハンドリング」などがあります。
T:空港で働く職員の方々が携わる業務ですね。しかし、空港職員と言えばコロナ禍で大きく職員数が減少したかと思いますが、現在はどのような状況なのでしょうか?
神様:おっしゃる通り、職員数はコロナ禍で大きく減少しました。しかし、足元では2019年の水準にまで回復してきています。その反面、採用後3年未満の職員が約4割を占めており、職員の育成と定着が課題です。
T:今後はどの業界でも人手不足となる時代です。貴重な職員を失わない工夫が必要ですね。
神様:空港の持続可能な発展は、グラハンをはじめとした空港業務の持続的な発展があってこそです。業界の課題解消や生産性向上を促す技術の導入が図られ、業務革新が進むことが必要です。さらに、グラハンは安全な航空運営を支える業務ですから、高いスキルが求められます。航空旅客需要の拡大が見込まれる中で、高いスキルを持った人材を提供できる企業の活躍も期待できるでしょう。