持ち家の“ある・なし”で異なる不安な理由
次に、不安を抱く理由も見てみよう。興味深いのは「持ち家層」と「賃貸層」で順位が異なる点だ。
持ち家層のトップは「自身の健康面」(77.2%)で、「老後の生活資金」(71.4%)が続く。一方、賃貸層では「老後の生活資金」(84.8%)がトップ。次いで「自身の健康面」(75.2%)となった。
この結果から、「持ち家層」は健康への不安が最も大きいのに対し、「賃貸層」はお金に関する不安を強く感じていることが分かる。
持ち家の場合、収入が減ったり介護が必要になったりしても、家そのものが資産として残る。さらに、売却することで資金を確保する選択肢もある。
しかし賃貸の場合、住み続ける限り家賃の負担が発生し、万が一収入が途絶えた場合には住まいの確保が難しくなる可能性がある。こうした事情が、賃貸層のお金に対する不安を大きくしているのではないだろうか。
なお同調査では、「持ち家層」のうち72.7%が老後も現在の住まい(自宅)に住むことを検討していると回答。一方で、ごく少数派ではあるものの、「住みかえ・移住」(3.8%)を選んだ人もいた。
近年、自宅を活用した老後資金対策として、売却後も賃貸で住み続けられる「リースバック」や、自宅を担保にして月々の支払いを利息のみに抑える「リバースモーゲージ」といった手法も聞かれるようになった。
ただし同調査によれば、持ち家層の認知度は「リースバック」が22.1%、「リバースモーゲージ」が20.0%と、決して高くはない。活用が広がるかどうかは、今後の動向を見守る必要があるだろう。