米コンビニ2位が買収を打診、円安が呼び水か 創業家はMBOで対抗
セブン&アイ・ホールディングスをめぐっては株式非公開化(上場廃止)が話題です。同業の外国企業から買収提案を受けたことをきっかけに、創業家を中心としたMBO(経営陣による買収)の動きがあります。
セブン&アイ・ホールディングスは2024年8月、アリマンタシォン・クシュタールから買収の提案を受けていることを明らかにしました。クシュタールはカナダの流通企業で、世界で「サークルK」や「クシュタール」などのコンビニを展開しています。アメリカでもシェアが高く、店舗数はセブン&アイ・ホールディングスに次いで業界2位です。
セブン&アイ・ホールディングスはこの提案を実質的に拒否しました。しかし同年10月には、再びクシュタールから買収の提案を受けたことを公表します。クシュタールが巨額な費用が想定される買収に積極的な理由として、円安が進んだことが背景にあるとよく指摘されます。
事態は買収合戦へと発展します。セブン&アイ・ホールディングスは同年11月、創業家出身の副社長からMBOの提案を受けたことを公表しました。同氏は関係会社を通じセブン&アイ・ホールディングス株式の8%を握る大株主でもあります。
この展開に株式市場は買いで反応しました。クシュタールと創業家のどちらが買い手になるにせよ、買収となればプレミアムをのせた価格での買い集めが想定されます。同年8月に1600円まで下落した株価は、11月に上場来高値となる2703円まで急騰しました。
報道では、創業家側のMBOは9兆円にのぼると伝えられています。一方、2度目の買収提案で7兆円を提示したと伝えられるクシュタールも、買収をあきらめない姿勢を表明しています。セブン&アイ・ホールディングスはまだ正式な回答を示していません。
買収は成立するのでしょうか。また成立する場合、買い手はどこになるのでしょうか。どのような結果でも、大きなニュースになることは間違いないでしょう。