◆「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」人気化の背景は?
「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」は9月17日に信託報酬率の引き下げを実施している。投資先である「ピクテ(CH)プレシャス・メタル・ファンド‐フィジカル・ゴールド」の報酬率が引き下げられたことに伴う変更で、従来は実質的な負担が最大年率0.879%(税込み)だったものが、最大年率0.789%(同)になった。金(ゴールド)に投資するファンドや、金の価格変動に連動する運用成績をめざすファンドには信託報酬が年0.2%を下回るものもあるため、この信託報酬率の引き下げが人気化の直接の要因ではないだろう。
金の価格推移そのものは、10月30日にNY金先物価格が2800ドルの史上最高値をつけて以来、高値もみ合いが続いている。11月は安値2570ドルをつけて月末は2681ドルという結果だった。金価格の推移だけでは、11月にゴールド・ファンドが人気化する理由にはならないだろう。むしろ、将来的に「ゴールド・ファンドに資金が大量に流れ込む事態が起きるのではないか?」という考えによって人気化したと考える方が自然だ。すなわち、現在の投資人気を独占している米国株式が何らかの理由で崩れ、その受け皿としてゴールドが活躍する可能性が高いという見方だ。
11月5日に米大統領選の投票が行われ、6日にはトランプ氏の勝利が確実になった。この第2次トランプ政権の発足というニュースが、米国株式市場の先行きに不透明感を与えている部分がある。第1次トランプ政権で特徴的だった「脱グローバル化」や「減税や財政出動による財政の圧迫」という「アメリカ・ファースト」の政策は、トランプ大統領誕生が確定する前までにあった「米国政策金利の低下シナリオ」をひっくり返す可能性がある。現在の米国株高が金利低下の見通しを背景として続いていることを考えれば、「金利が下がらない」という事態になれば株価上昇の勢いを失くすことにつながりかねない。「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」のようなゴールド・ファンドの人気が一時的なものか持続するのか、今後の展開を注視したい。
執筆/ライター・記者 徳永 浩