三菱UFJモルガン・スタンレー証券の投信売れ筋ランキングの2024年11月のトップは前月同様に「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」だったが、第2位には前月の第3位から「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド Dコース(毎月決算・予想分配金提示型・為替ヘッジなし)」が浮上するなどアクティブファンドのランクアップが顕著だった。前月は売れ筋トップ5のうち4銘柄をインデックスファンドが占めていたが、11月は2本だけになった。代わって、「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド Bコース(為替ヘッジなし)」と「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信 Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」がトップ5にランクインした。

 

◆アクティブファンドが選ばれる理由とは?

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の売れ筋の10月は、「S&P500」、「日経225」、「全世界株式(オール・カントリー)」といった国内外の主要な株式インデックスファンドが大半を占めていた。10月には米国の「S&P500」や「NYダウ」が史上最高値を更新し、ドイツの「DAX」も史上最高値に進むなど欧米の株式市場が好調だった。欧米ともにインフレ率が低下し、それぞれに利下げを実施したという金融緩和への流れが確認されたため、株式市場の先高観が高まっていたためと推察される。

ところが、11月は一転して「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」以外のインデックスファンドの人気が落ち、「三菱UFJインデックス225オープン」と「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」はトップ5から姿を消すことになった。米国株価は引き続き好調で、11月には「S&P500」、「NYダウ」に続いて「NASDAQ総合」も史上最高値を更新した。ドイツ「DAX」は調整局面に入ったものの、12月に史上最高値を再び更新するなど、決して弱い相場ではなかった。株高の基調は変わらなかったものの、その株式に投資する手段が「インデックス」から「アクティブ」に移った。

この投資手段の移行の背景にあるのは、「株価水準の割高感への警戒感」ということになるだろう。インデックスファンドに対してアクティブファンドは運用会社の調査によって成長力や財務内容に不安がある銘柄を除外し、強い成長期待のある銘柄は組み入れ比率を高めるなどの優劣判断が行われる。「何でも良いから株式に投資する」という姿勢が「より優良な株式に選別投資する」という態度に変わってきたといえる。

この投資態度の変化は、株価が急ピッチで上昇していることを考えれば、当然ということもできる。「S&P500」の予想PERは2024年の年初20倍台前後から徐々に上昇し、10月以降は23倍を超えている。2020年以降の平均20.6倍と比較すると、米国株価は企業業績の伸びを上回って株高が先行していることがわかる。