三井住友銀行の投信売れ筋ランキングの2024年11月のトップは5カ月連続で「三井住友・225オープン」、第2位には前月同様に「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)<世界のベスト>」が入った。第3位には「三井住友・NYダウ・ジョーンズ指数オープン(為替ヘッジなし)」が浮上し、前月第3位の「SMBC・DCインデックスファンド(S&P500)」は第4位に下がった。そして、第8位以下には前月トップ10圏外だった3ファンドがランクインした。中でも第8位にランクインした「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」は6月に第7位に入って以来5カ月ぶりのトップ10入りになった。
◆「S&P500」より「NYダウ」が選ばれる理由は?
10月は「SMBC円資産ファンド」や「三井住友・ワールド・パッケージ・オープン」などのバランスファンドの順位が上がったが、11月は「三井住友・NYダウ・ジョーンズ指数オープン(為替ヘッジなし)」、「エス・ビー・日本株オープン225」、「JPモルガン・アメリカ成長株ファンド(為替ヘッジなし、年1回決算型)<アメリカの星>」などの株式ファンドが順位を上げている。「SMBC円資産ファンド」は順位を1つ落としただけだが、「三井住友・ワールド・パッケージ・オープン」はトップ10から落ちてしまった。
また、同じ米国株式インデックスでも「S&P500」に代わって「NYダウ」が上位になった。この2つのインデックスは、ともに史上最高値を更新しているが、株価指数としての性格はかなり異なる。「S&P500」は、その名前の通り約500銘柄で構成され、「時価総額加重平均」で組み入れ比率が決まるため、時価総額が大きな企業の影響力が強い。時価総額ベースでは米国株式市場の約80%をカバーするため、米国市場全体を象徴しているような指数といえる。
これに対して「NYダウ」は30銘柄で構成され、その平均株価で指数を作るために、値がさ株(株価の水準が高い株式)の価格変動の影響を大きく受ける。しかも、30銘柄を選ぶにあたっては「米国を代表する」という視点で銘柄委員会が会議を開催して決定しており、大きければ指数に入るというものではない。このため、「S&P500」の上位銘柄はハイテク大型株で占められているが、「NYダウ」は必ずしもハイテク株比率が高くない。
実際に11月末時点の「NYダウ」の業種別組み入れ比率は、「金融サービス」が16.4%、「ソフトウエア・サービス」13.1%、「資本財」12.3%、「一般消費財・サービス流通・小売り」が8.5%などとなっている。「S&P500」では「ソフトウエア・サービス」が11.1%、「半導体・半導体製造装置」が10.0%、「テクノロジー・ハードウエア・機器」が8.6%、「金融サービス」が8.0%などで、指数組み入れ銘柄の顔ぶれは大きく異なる。米大型ハイテク株の割高が指摘されているため、ハイテク株比率が低い「NYダウ」を選ぶ投資家が増えたとも考えられる。また、トランプ新政権のもとで「アメリカ・ファースト」の政策が推進されるとみられることから、「資本財」や「一般消費財・サービス流通・小売り」など内需関連の浮上に期待が高まっているとも考えられる。