証券会社の破綻リスクは小さい 「自己資本規制比率」で健全性を維持

投資者保護基金制度に補償の上限があると知ったとき、より破綻しにくい証券会社を探す人もいるでしょう。しかし、あまり深刻に考える必要はありません。証券会社は、そもそも破綻する可能性は小さいと考えられるためです。

証券会社は、破綻する可能性が過度に高まらないよう、さまざまな規制を受けています。その代表的なものが自己資本比率の規制です。

ここでいう自己資本比率は、バランスシートから算出される一般的なものではありません。次の式で算出されるものです。

【証券会社の自己資本規制比率】

固定化されていない自己資本の額÷リスク相当額×100

「固定化されていない自己資本の額」とは、流動的な資産、つまり支払いに充当しうると考えられるお金のことです。一方、「リスク相当額」とは、証券会社が保有するリスク量を表します。

つまり自己資本規制比率は、証券会社のリスクに対する支払能力を測る指標として機能することが期待されます。数値が大きいほど、資金が潤沢で破綻の可能性が小さいと考えられます。

法令では自己資本規制比率は120%以上を維持するよう定められています。140%を下回ると報告義務が課され、120%を下回ると金融庁から指導を受けたり業務が制限されたりします。さらに100%を下回る場合、金融庁から業務の停止を受ける可能性が高まります。

もっとも、証券会社の多くはこれを大きく上回る水準を維持しています。日本取引所グループが取りまとめたところ、取引所に参加する証券会社の自己資本規制比率は212%~2235%でした(2024年9月末時点)。

どの証券会社も基本的に破綻の可能性は小さいといえるでしょう。破綻の可能性はゼロではありませんが、過度な心配は不要と思われます。

お金は守られる 口座を開設して証券会社のサービスを利用しよう

証券会社の破綻リスクは高くありません。また仮に証券会社が破綻した場合も、私たちのお金は守られます。分別管理制度を中核に、万が一のときも投資者保護基金制度で補償を受けられます。

投資をするなら証券会社の口座はおすすめです。専門家のレポートを読めたり、本来は有料のメディアや投資情報を無料で閲覧できたりします。破綻による損害を心配し過ぎず、証券口座を開設してこれらのサービスを投資に活用してみてはいかがでしょうか。