新NISAは基本的に1人1口座です。複数の口座を同時に開設することはできません。新NISAの2つの投資枠(成長投資枠・つみたて投資枠)を別々の金融機関に開設することもできません。
なお、年をまたいだ金融機関の変更は可能です。金融機関を変更しても、すでに投資した商品は非課税で保有を継続できます。この場合、結果的に複数の金融機関でNISA口座を保有することになります。
金融機関の変更ができるとはいえ、変更の手続きは手間がかかります。口座が分散すると管理も煩雑になります。あとで変更することがないよう、金融機関はしっかり選んでおきたいところです。
今回は新NISAの口座開設ルールと金融機関の選び方を解説します。
新NISAは複数の金融機関で口座開設することはできない
冒頭でお伝えしたとおり、新NISAは1人1口座が原則です。同時に複数の金融機関で開設することはできません。また新NISAには成長投資枠とつみたて投資枠がありますが、これを分けて開設することも認められていません。
NISA口座の開設状況は税務署で管理されます。NISA口座の申し込みを受けた金融機関は、二重開設とならないよう税務署に照会します。他社で開設があった場合、NISA口座の開設は否認されることとなります。同時に2つ以上の開設を申し込んだ場合は、いずれか1つのみが開設され、その他の開設は無効となります。
金融機関のなかには、税務署の照会前に暫定的なNISA口座を開設する場合があります。暫定的な口座で投資したあと、二重開設が認められた場合、その商品は通常の課税口座へ払い出されます。
「金融機関の変更」はOK!ただし、条件がある
NISA口座を複数の金融機関で開設することはできませんが、年をまたいだ金融機関の変更は可能です。例えば2024年は楽天証券、2025年はSBI証券、2026年はマネックス証券といったように、年ごとに金融機関を選択することができます。
金融機関の変更の条件は次のとおりです。
【NISA金融機関の変更の条件】
・変更したい年の前年10月1日~当年9月30日に手続きする
・変更したい年において、変更前の金融機関でNISA口座を使用していない
例えば2025年分の金融機関を変更したい場合、2024年10月~2025年9月までに手続きする必要があります。ただし、変更前の金融機関ですでに投資した場合は変更できません。2025年分のNISAで投資した場合、変更できるのは最短で2026年分からとなります。
金融機関を変更しても、すでに投資した商品は非課税のまま保有できます。各金融機関で投資を繰り返せば、結果的に複数のNISA口座を保有することとなります。
なお、新たに投資できる口座は1つです。新規投資は変更先の金融機関でのみ可能です。変更前の金融機関では、保有または売却ができます。
また金融機関を変更する場合も、累計の投資可能額(非課税保有限度額、総枠)は1800万円です。複数のNISA口座を保有しているからといって、投資可能額が増加するわけではありません。