◆なぜ「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」なのか?
「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」の人気が高まっている背景には、史上最高値を更新し続ける米国株価指数「S&P500」に対する警戒感があるのではないだろうか。長期の平均上昇率が年7%~10%程度である「S&P500」が直近1年間では約40%も値上がりしている。しかも、特段に業績が大きく伸びたということでもなく、PER(株価収益率)の拡大を伴う株高になっている。こういった行き過ぎた株価が何らかのショックで急落する、または、ほとんど上昇せずに調整を続けるようなことが起こるのではないかという警戒感だ。
たとえば、「S&P500」では11月末時点の組み入れ上位は「アップル」(組み入れ比率6.9%)、「エヌビディア」(同6.4%)、「マイクロソフト」(6.0%)、「アマゾン」(3.7%)、「メタ・プラットフォームズ」(2.4%)と続く。また、今や『政治銘柄』と化して米大統領選挙後に急騰した「テスラ」も第7位(1.8%)に入っている。全組み入れ銘柄数は503銘柄だ。これに対し、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」は50銘柄でポートフォリオを構築し、組み入れ上位は「マイクロソフト」(7.4%)、「アマゾン」(7.1%)、「エヌビディア」(6.3%)、「メタ・プラットフォームズ」(5.3%)、「VISA」(4.7%)となる。
「アップル」のPERは40倍超、PBR(株価純資産倍率)は65倍超であり、「マイクロソフト」はPERが約38倍、PBRは12倍台、「アマゾン」もPERは78倍超だがPBRは11倍台となっている。「アップル」や「テスラ」を「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」では評価していない。その他、時価総額はIT大手企業にかなわないものの「VISA」や「コストコ」、「ホーム・デポ」、「ユナイテッドヘルス」などが組み入れ銘柄のトップ10に入っている。IT一辺倒ではない、これからの米国経済を見据えた銘柄選択、また、ポートフォリオにおけるウエート付けを行っていることがうかがえる。
このように、単に時価総額が大きいという理由で集められた500もの銘柄に投資するのではなく、企業調査の専門家が良いと判断した少数の銘柄に厳選投資する方が安心感があると考える投資家が増えてきている。それが「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」の人気として浮き彫りになっているのだろう。
執筆/ライター・記者 徳永 浩