マネックス証券の投信売れ筋ランキングの2024年11月のトップは前月の第2位から「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が浮上した。前月トップだった「楽天 日本株4.3倍ブル」は第2位に後退し、前月3位だった「SBI 日本株4.3ブル」は第5位にまで下がった。代わりに前月は第4位だった「日経225ノーロードオープン」が第3位に浮上し、トップ10圏外から「ニッセイ225インデックスファンド」が第7位に、「たわらノーロード日経225」が第9位に入るなど、日経平均株価に連動するインデックスファンドが順位を上げた。

 

◆日本株では「225インデックス」が選好される

マネックス証券の売れ筋ランキングのトップ10は、国内株インデックスファンドの比率が高いのが特徴だ。その中で、レバレッジ型(テコの原理で現物株市場の数倍の比率で値動きするファンド)で短期勝負・タイミングを計って投資する「楽天 日本株4.3倍ブル」や「SBI 日本株4.3ブル」が順位を落とし、よりオーソドックスで中長期投資の投資対象といえる「日経225(日経平均株価)」連動型のインデックスファンドが順位を上げている。

11月の国内株式市場は、日経225で3万8500円から3万9500円までの比較的狭い範囲でもみ合った。米国の主要株価指数が史上最高値を連続して更新する好調ぶりを示すことを横目に見ながら、上値の重さを感じさせる展開だった。株価が崩れて大きく下落するような動きにはならなかったため、レバレッジ型の「楽天 日本株4.3倍ブル」なども一気に人気が離散することはなかったのだろう。ただ、同ファンドの基準価額は10月末2万4744円が、11月末には2万1967円に下落した。4.3倍のレバレッジがかかっていることを考えれば、その動きの小ささがランクダウンを軽微なものにしたのかもしれない。

一方、「日経225ノーロードオープン」の基準価額は10月末2万9014円が、11月末は2万8363円だった。「楽天 日本株4.3倍ブル」の下落率が1カ月で11.22%だったところ、2.24%の下落率にとどまった。日本株の出遅れ感、また、株価を意識した経営の浸透などによって、日本株の上昇についての期待感は強い。ただ、食料品等の日常生活を圧迫する物価高の影響などで国内景気の先行きに対する不透明感は残っている。11月の日経平均株価の下落率は2%程度だったが、日銀が想定外と受け取られるような不用意な利上げをするようなことなどがあれば、5%を超えるような株価下落は覚悟しなければならない状況だろう。5%の下落は4.3倍のレバレッジをかけると20%超の下落になる。株価上昇への期待と下落への危惧をてんびんにかければ、今のところは「4.3倍ブル」ではなく、レバレッジのないインデックスファンドの方が選ばれたということだ。