マンガ『インベスターZ』も解決?
実際、レポート中にも「日本株式や日本を除く世界株式の指数と比較しても、平均した日本のアクティブファンドの運用効率は振るわず、これが継続するとすれば、現在アクティブファンドを利用している投資者の投資資金も、アクティブファンドからインデックスファンドヘと、よりシフトしていく恐れがあるのではないだろうか」と書いてあり、協会のこのままではマズいという危機意識がうかがえます。
余談ですが、投資をテーマにした『インベスターZ』という三田紀房さんのマンガがあります。これは、名門男子校の高校生が「投資部」をつくり、高校の運営資金を投資で稼ぐという設定なのですが、3000億円の資金を年8%の利回りで運用して毎年の学校運営費の240億円を捻出するというのが目標とされていました。ですが、単に8%稼ぐだけなら、わざわざ投資部をつくって(優秀な)高校生に運用などさせなくても、その3000億円でインデックス投資信託を買っておけば十分だったということになります(マンガの設定の揚げ足を取っているようで申し訳ないですが)。
現実のデータを素直に見れば、協会の認識が妥当なものだと思います。インターネット上にあるアクティブ投資信託が勝っているかのようなことを書いているサイトは、ひねくれた見方をすれば、トータルの利益の比較では勝負にならないので 、「勝率」という一見意味がありそうに見えて、よくよく考えるとあまり意味がないものを持ち出してきて、顧客をミスリード(誤誘導)しようとしているのではないかとも思えてきます。
もちろん、中にはTOPIXなどの指数に連動するインデックス投資信託よりも高い運用成績を上げる腕のよいファンドマネージャーもいるでしょう。世の中にはウォーレン・バフェットなど、インデックスに勝ってきた優れた投資家がいるのも事実です(そのバフェットですら、そこまで大きくインデックスに勝ったわけではないですし、妻への遺言や一般の人に対しては「インデックス投資信託を買え」といっているそうです)。でも、そもそも初心者が投資信託を選ぶのは、自分で投資先を選ぶのが難しいからでした。しかしアクティブ投資信託の場合、「どのファンドマネージャーならインデックス投資信託に勝てるか」を投資家が自分で考えなければなりません。
結局、何を根拠に選べばよいのかわからない点では、自分で投資先を選ぶのと大きな違いはないでしょう。それならば、「下手の考え休むに似たり」と割り切ってインデックス投資信託を選んだほうが賢明です。「資産運用のプロでもインデックスにはなかなか勝てない」ということをしっかり覚えておきましょう。
金融地獄を生き抜け
著者名 我妻佳祐
発行元 幻冬舎
価格 1,144円(税込)