老後資金2000万円問題や新NISA開始もあって、今までにないと言えるほど多くの人が資産形成に関心を寄せています。

しかし、そうしたムーブメントがあれば、必ず現れてくるのが「ネットにあふれる玉石混交の金融情報」。こうした状況に対し、元・金融庁官僚でマネックスライフセトルメント代表取締役の我妻佳祐氏は、「ほんとうに必要な金融の知識は、それほど多くもない」と警鐘を鳴らします。

そんな、“必要最低限の金融知識”を説く話題の書籍『金融地獄を生き抜け 世界一簡単なお金リテラシーこれだけ』から、投資信託の選び方について解説した箇所をお届けします。(全4回の4回目)

●第3回:「インフレで物価が上がればモノが売れなくなるのでは?」という人は知らない…インフレの本当の仕組み

※本稿は、我妻佳祐著『金融地獄を生き抜け 世界一簡単なお金リテラシーこれだけ』(幻冬舎)の一部を抜粋・再編集したものです。

インデックス投資信託に負け続けるアクティブ投資信託

「貯蓄から投資」に切り替えようと決めると、こんどは「なるべくリターンを大きくしたい」と思うのが人情でしょう。すると、「いくらかリスクが高くてもアクティブ投資信託を選んだほうがよいのではないか」と考えるようになるかもしれません。たしかにアクティブ投資信託は、うまくいけばインデックス投資信託よりも高い利回りが得られることもあるでしょう。

ルーレットにたとえるなら、インデックス投資倍託は、いわば全部の数字にベットする(チップを置いて賭ける)わけです。数字ひとつあたりの平均賭け金は少なくなりますが、長くやっていれば、大儲けはしないものの必ず収支はプラスになるでしょう。もちろん現実のルーレットは期待値がマイナスなのでこの賭け方では長期的に必ず損をしますが、経済全体が成長していく場合は期待値がプラスのルーレットのようなものなので、この賭け方(インデックス投資信託)でも利益が出せるわけです。

それに対して、アクティブ投資信託はプロが選んだいくつかの数字にベットするようなもの。インデックス投資信託のように闇雲に全部買うのではなく、投資のプロが値上がりしそうな株を厳選して買ったほうが、直感的には高いリターンを得られそうにも思います。

ところが過去の運用成績を見てみると、必ずしもそうはなっていないのが実情です。驚くべきことに、アクティブ投資信託はインデックス投資信託に比べてリスクが高いだけではなく、リターンも低いのです。要は、アクティブ投資信託はリスクを取ったわりにたいして儲からない商品であるということです。

ふつう、リスクとリターンは相関関係にあります。リターンを高めようとすればリスクも高くなる(ハイリスク・ハイリターン)、リスクを減らせばリターンも減る(ローリスク・ローリターン)という関係です。しかし、アクティブ投資信託はリスクが高いのにリターンは低いという商品です。こういう商品を「非効率」な商品と呼んだりします。「ローリスク・ハイリターン」な金融商品は存在しませんが、「ハイリスク・ローリターン 」な金融商品はいくらでもあるので気をつける必要があります。