毎月の「勝率」は意味がない

インデックス投資信託とアクティブ投資信託の成績比較を検索してみると、いろいろな会社が「アクティブ投資信託が勝っている」というような記事を書いています。投資にあまり詳しくない人は「やはり投資のプロが選ぶ商品はリターンが高いのだな」と思ってしまうかもしれません。

しかし、私の目から見ると、それらの記事はどうもゴマカシが多いように思います。具体的には、毎月の「勝率」を根拠にアクティブ投資信託がインデックス投資信託に勝っているかのような説明をしているものが散見されます。しかし、投資する人が知りたいのは「いくら儲かったか」だけです。毎月の勝ち負けで勝率がいくら高くても、小さく勝って大きく負けていたのでは意味がありません。

ここで、投資信託協会のレポートを見てみましょう。この協会は投資信託を推進するのが目的の協会なので、「アクティブ投資信託を売りたい」と思っています。実際、レポートの冒頭にも「アクティブファンドの活性化の必要性について考察したい」と書いてあり、インデックス投資信託にわざわざ肩入れしようとは思っていないところなので、インデックス投資信託をえこひいきするようなことは書かないでしょう(ここでは「ファンド」は「投資信託」と同じ意味だと思ってください )。

このレボートの4ページに図8のようなグラフと表が載っています。 

 

これを見ると、この10年でのリターンはインデックスファンドが8.3%であるのに対し、アクティブファンドは5.7%にすぎません。アクティブファンドの惨敗といっていいでしょう。投資のプロが目利きしてつくったはずのアクティブファンドが、素人でもつくれるインデックスファンドに負けているのです。
 
また、標準偏差(リスクのことです)は、インデックスファンドが10.4%、アクティブファンドが10.7%と、アクティブファンドのほうが若干高いものの、インデックスファンドと大差ありません。積極的にリスクを取る代わりにリターンも高いというのがアクティブファンドの性質のはずが、実際はインデックスファンドと大差ないリスクしか取れていません。

意地の悪い見方かもしれませんが、投資対象の目利きができずに腰の引けたリスクテイクしかできていないということなのかもしれません。残念ながら、アクティブファンドを買う理由はなにひとつないといっていいでしょう。