株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、海の見えるカフェでランチを食べながら投資談義を行っています。

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T:12月に入り、今年も残り1カ月を切りました。そろそろ今年の振り返りをする時期ですね。そして来年はどんな年になるでしょうか。

神様:Tさん、「生成AI元年」と呼ばれた年は何年だと思いますか?

T:ChatGPTが登場したのが、確か2022年でした。生成AIによる様々なサービスが登場し始めたのはその後ですから、2023年ですかね。

神様:その通りです。一般的に2023年が生成AI元年と言われています。2024年は関連サービスが続々と登場し、生成AIは普及期を迎えました。ビジネスシーンに深く根差し、さらに成長しています。

T:今年のノーベル物理学賞も生成AIが関連していましたね。

神様:来年、そしてその先も生成AIの活用は拡大し発展していくと思われます。DX(デジタルトランスフォーメーション)、GX(グリーントランスフォーメーション)の推進も進み、よりデジタルと現実が融合した社会へ向かっていくでしょう。

T:各企業においては、ITシステムへの投資意欲は今後も高まっていくと考えられますね。

神様:生成AIの普及により注目されるのはデータセンターです。生成AIは高性能な画像処理半導体(GPU)などを搭載した専用サーバーを必要とします。サーバーはデータセンター内に設置されますから、データセンターの需要が急拡大しているのです。世界のデータセンターシステム市場規模を見ると、2022年から2024年にかけて急拡大している様子がわかります。

 

T:確かにそうですね。

神様:総務省によると、データセンターにおけるデータ保有量は、2024年は4.0エクサバイトとの予想ですが、2033年には約5倍となる19.2エクサバイトまで伸びると予想されています。

 

T:1エクサバイトは、10億ギガバイトですから計り知れないデータ量ですが、今後さらに伸び続けていくわけですね。

神様:前年比伸び率で見ると、2033年までの間で最も大きな伸び率になると予想されているのが、来年である2025年です。

T:なるほど。2025年は普及を果たした生成AIがさらに発展し、データ量も大きく拡大していく年になりそうですね。

神様:さて、生成AIは大容量データの計算処理を必要とします。処理性能を高めるためにはデータ送受信の高速化が必要です。そこで、データ送受信の遅延を防ぐため、現在ニーズが高まっているのが「光伝送技術」です。

T:光伝送技術とは、光ファイバー網を使ったデータの伝送のことでしょうか?

神様:はい。データの送受信には、昔から電気通信が使用されてきました。光ファイバーを使った通信は大容量のデータを高速に伝送することが可能ですが、活用されているのはまだまだ一部です。今後のさらなるデータ量増加、高速化を見据え、電気通信をさらに活用していく「オール光ネットワーク」、「オールフォトニクス・ネットワーク」と呼ばれる研究開発が日本企業によって行われています。基板間やチップ間を電気だけでなく光で接続させる光電融合技術も活発に開発されています。これらが次世代通信技術として発展すれば、データセンター間だけでなくサーバー内部においても、従来の電気通信から光ファイバー回線への置き換えが進むでしょう。

T:そうしてデータ送受信の大容量化・高速化を実現するということですか。データセンターは消費電力が増大していることも課題ですが、光伝送技術であれば消費電力増大の抑制効果も期待できそうですね。

神様:おっしゃる通りです。消費電力を抑制しつつ、データ処理を遅延なくすすめられる光伝送技術への需要は今後拡大していくでしょう。今よりはるかに大容量のデータを、今よりはるかに高速に伝送する通信技術が登場する時代が、すぐ目の前まで来ています。

T:関連する日本企業の活躍に期待したいです。