厚生年金に加入できていれば…
横田さんは「あの時、厚生年金に加入できていれば、もう少し年金は増えていましたよね?」と、言います。そこで、もし加入していたなら年金がいくら増えたか計算したところ、年間30万円ほどになることが分かりました。年間30万円が一生涯減るわけですから、それは大きな損失になります。しかし、それを言ったところで年金が増えるわけではありません。
もちろん1番悪いのは会社です。おそらく会社は強制適用事業所にあたると思われますから、厚生年金に加入しないことは違法行為です。しかし、厚生年金に加入していないことを分かった上で15年間働き続けたのは本人ですし、もし違法行為だと認識したなら当時の社会保険事務所に相談するなど何らかのアクションを起こす必要があったでしょう。
また、それを分かっていながら63歳になった今まで、貯蓄をしてこなかったのは、これは会社の責任ではありません。厳しいようですが、厚生年金に加入しなかった会社を責めても誰も助けてくれません。自分で準備するしかないのです。
これからの生活をどう生きていくかという点においては、本人も長く働くことを考えていますが、やはりできるだけ長く働き、給料の一部を貯蓄して老後に備えていくほかありません。現在まで貯蓄がないのは、「将来を真剣に考えたことはなく、どうにかなると思っていたから」だそうです。そのため、給料が入るとなくなるまで使っていたそうですが、今後はその生活を改める必要があります。
横田さんの現在の収入は手取りで22万円です。姉の年金7万円と合わせると、決して苦しい生活水準ではありません。今は年金生活より約10万円手取りが多いため、できれば数年後にやってくる年金生活を見据え19万円で生活をして10万円は貯蓄したいところです。お金は意図的に貯めないと貯まることはありません。だからこそ先取り貯蓄が必要です。先取り貯蓄をしてこなかった横田さんでしたが、まずは、3万円から先取り貯蓄を始め、徐々に金額を上げていくことを決めました。