今日の二つ目のテーマです。過去10年間の総選挙に関連した日経平均の動きを見る中で、一つ「使えるな」と思うパターン認識が見つかりました。
これです。
選挙後の初日の日経平均株価が強かったケースが、これまでに4回ありました。具体的には、2005年郵政解散、2012年の自民党政権奪還、17年、安倍さんの2回目の選挙、21年岸田さんのときです。
選挙後の月曜日が強いと、その後も比較的強い流れにある。逆に選挙後初日の取引が下落したパターンは過去6回ありました。
その後の動きは、悪くはないケースもあるがダメなケースもあり、いまいち見通せない。いずれにしても、選挙後初日の月曜日が重要だと言えそうですね。
改めて、これまでのパターンをまとめなおしてみましょう。
選挙に自民党と野党、どちら勝ったか負けたかで見ると、ここ10回の衆議院選挙では2009年に野党が一度勝利しましたが、それ以外はずっと自民党が勝っています。
自民党が勝利したときの獲得議席率を見てみましょう。93年から2003年までの選挙では自民党は過半数の議席を取れていません。その後、2005年小泉さんの時代になってから以降は自民党は過半数の獲得議席率を取っている。
自民党が単独過半数の議席を取っているとき、選挙後の日経平均株価の動きはどうなるのか。調べてみると、次のような形になりました。
どう判断するかは皆さんにお任せしますが、悪くはないと思います。2014年の安倍さんのときを見てみましょう。何回か落ち込むところはありますが、切り返してもいる。
2014年まではアベノミクスが活躍した時代です。2014年12月の選挙前、10月には「黒田バズーカ2」とも言われる2度目の金融緩和が決まり、株価がすごく上がった後なので、少し相場もつかれていたのでしょう。
話を戻すと、やはり全体で見ると、自民が単独過半数を獲得したときは強い。そう言えると私は思います。
逆に自民が単独過半数を取れなかった4回を見ていきましょう
2000年の森さんのときは、単独過半数は取れませんでしたが、選挙前金曜日の終値はなんとか維持して推移しているようです。
最後に今回最大のマーケットの関心事、政権が交代したケースを見ていきましょう。先ほどの10個のケースで言えば、93年の選挙で宮沢政権から細川護熙さんをトップとした連立型の日本新党に変わった時代。2009年民主党が取った時代2つあります。そのときの株価はどう動いたか。
選挙前金曜日の終値から少し下がっています。それでもせいぜい3%程度です。とはいえ、今は1%が380円の時代ですから、3%になると1000円以上下がるかもしれない。ただ、これまで政権交代があったケースでは10%以上下がることはありませんでした。これが現実です。
政治はときにマーケットを動かしますが、マーケットは賢い。ある程度は織り込み済みで動いていきます。今回の選挙に関して言えば、すでに総裁選の段階から株価は5%ほど下がっている。ある程度は織り込んで今回の選挙に向かうことになりました。
こうした中で短期的なマーケットの勝敗の分かれ道は、選挙後初日月曜日の展開次第となるでしょう。月曜日が強い日になるか弱い日になるか、注目しておいてもらいたいと思います。
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岡崎良介氏 金融ストラテジスト
1983年慶応義塾大学経済学部卒、伊藤忠商事に入社後、米国勤務を経て87年野村投信(現・野村アセットマネジメント)入社、ファンドマネジャーとなる。93年バンカーストラスト信託銀行(現・ドイチェ・アセット・マネジメント)入社、運用担当常務として年金・投信・ヘッジファンドなどの運用に長く携わる。2004年フィスコ・アセットマネジメント(現・PayPayアセットマネジメント)の設立に運用担当最高責任者(CIO)として参画。2012年、独立。2013年IFA法人GAIAの投資政策委員会メンバー就任、2021年ピクテ投信投資顧問(現・ピクテ・ジャパン)客員フェロー就任