◆「複合資産型」の分散効果に見直しも
「外国株式型」と「国内株式型」に続く資金流入となった「複合資産型」は、「のむラップ・ファンド(普通型)」(約123億円)、「あおぞら新グローバル分散ファンド(限定追加型)2024-07」(約113億円)、「のむラップ・ファンド(積極型)」(約108億円)などに資金流入が目立った。
「複合資産型」は、株式や債券、REIT(不動産投信)などに資産を分散するため、これまでのように米国を中心とした外国株式が勢いよく上昇しているような局面では、その資産価値の成長力で見劣りし、人気が高まりにくい資産クラスだった。ただ、株式だけではなく、インカム収入が期待される債券やREITにも投資することで、株価が下落するような局面にあっては、その株価下落の影響を緩和し、全体的に安定的な運用成果が期待される。このため、リスク資産に不慣れな人が最初に投資する資産として選ばれる傾向も強く、地方銀行などでは売れ筋の上位に「のむラップ・ファンド」が入っているところもある。8月に資金流入が拡大したのは、日本株式や米国株式の急落によって株式市場の先行きを不透明に感じた投資家が少なくなかったため、より安定的な資産を求める機運が高まったということがあっただろう。
このカテゴリーには「投資のソムリエ」(2022年1月に純資産残高約6525億円、現在は3864億円)、「東京海上・円資産バランスファンド(毎月)(愛称:円奏会)」(2020年2月に約7500億円、現在は2823億円)、「財産3分法ファンド(不動産・債券・株式)毎月分配型」(2007年5月に約1兆4000億円、現在は2469億円)などの巨大ファンドがあった。株高局面で大きく残高を減らし、また毎月決算型は新NISAの対象外になるなど、制度的な逆風もあるが、1年決算型など新NISA対象のコースもある。米国に景気後退懸念がくすぶるなど、株式市場の先行きが楽観できないだけに、「複合資産型」にどこまで人気が戻っていくのか注目したい。
執筆/ライター・記者 徳永 浩