三菱アセット・ブレインズがまとめた2024年8月の公募ファンドの純資産残高は98兆9739億円で前月比9967億円減少した。2カ月連続で残高減になった。資金流出入額は、月間で約1兆960億円の資金純流入(前月の流入額は約1兆6240億円)だった。
資産別には「外国株式型」が51兆9944億円で残高が前月末比0.73%減少した他、「ハイイールド債券」が同4.28%減、「エマージング債券型」が前月末比3.90%減、「エマージング株式型」が前月末比3.67%減少した。資金流出入では資産別にみると「外国株式型」(約7270億円)、「国内株式型」(約2280億円)、「複合資産型」(約910億円)の順で資金流入があったが、「外国株式型」は前月の約1兆2270億円から流入額を大幅に減額した。「国内株式型」は前月の約1490億円から流入額が増額した。一方、資金流出は「不動産投信型」(約280億円)、「国内債券型」(約68億円)、「ハイイールド債券型」(約45億円)の順に資金が流出した。
◆「全世界株式」より「米国株式」の流入額が大きく減少
個別ファンドの資金流入額でトップは、「外国株式型」の「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の約1520億円(前月は約2240億円)、そして、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の約1181億円(同約2000億円)、「アライアンスB・米国成長株投信D」の約795億円(同約1680億円)、「インベスコ世界厳選株式オープン(ヘッジなし・毎月決算型)」の約482億円(同589億円)の順で前月と変わらなかった。流入額の順位は変わらないものの、4ファンドともに流入額が減額しているが、その減額の比率は「全世界株式(オール・カントリー)」(32.1%減)より「S&P500」(41.0%減)、「世界厳選株式」(18.2%減)より「米国成長株」(52.7%減)というように、米国株式に特化したファンドが、より大きな減額率になった。
◆M7がけん引してきた米国ハイテク株に一服感?
米国株式については、2023年に「マグニフィセント・セブン(M7)」(アルファベット、アップル、メタ、アマゾン、マイクロソフト、テスラ、エヌビディア)と呼ばれる大型ハイテク株に売買が集中し、「M7」の値上がり率だけで「S&P500」の値上がりのほとんどを説明できてしまうといわれた。集中的に物色され、株価も大きく値上がりしたために、「M7」については「株価が値上がりし過ぎて割高」という指摘が強まっていた。
ただ、割高と言われても株価は値上がりし続けたため、「買うから上がる、上がるから買う」という需給相場になっていた。需給相場では、株価が上がっている間はどんどん上値を伸ばすが、上昇に勢いがなくなると一気に株価が急落するという傾向がある。積立投資が普及しているため、一気に資金流出入が逆転することは考えづらいものの、8月の資金流入の減少が、この後、資金流出に転じるような動きにならないかどうか注目したい。
また、前月よりも資金流入額が増大した「国内株式型」は、株価が急落して底打ちをした8月5日の週に約1640億円の資金流入を記録するなど、短期間に20%超の急落となった株価に「押し目買い」の動きが強まったと考えられる。資金注入額上位ファンドも「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」(約154億円)、「日経225ノーロードオープン」(約148億円)、「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」(約140億円)など、インデックスファンドに資金が流入した。また、「その他」に分類されるブル・ベア型の国内株式ブル型である「SBI日本株4.3ブル」(約146億円)、「楽天日本株4.3倍ブル」(約114億円)への資金流入も目立った。