<前編のあらすじ>

シングルマザーの康子(40歳)は、娘の李菜(5歳)の保育園の運動会に参加する。これまで仕事の都合でなかなか行くことができなかったので、康子は早起きして弁当を作って準備していた。

当日は康子の両親も一緒に運動会を観覧しながら、カメラを回して李菜を撮り続けた。午後の部では、康子は保護者参加の障害物リレーに参加する。周囲は父親だらけだったが、「女だからってなめられてたまるか」と気合を入れる康子だった。

しかし気合が入りすぎたせいか、ラストスパートで全力疾走をした康子は、最後のカーブの所で転倒してしまった……。

●前編:夫の浮気で離婚…“男には負けたくない”と気合を入れすぎたシンママの「痛すぎる運動会」

変色した足首

もつれた足に引っ掛かったのだと、康子が理解したのは、地面に倒れた後だった。遠くで悲鳴のような声が聞こえてきて、転んだことに気がついた。

すぐに立ち上がろうとするが、足首に激痛が走る。競り合っていた若い父親はもうとっくに次の走者へバトンを渡しているし、立ち上がった康子の横を後続のランナーがあっという間に追い抜いていった。

痛みをこらえて歯を食いしばり、康子は何とかバトンを次の走者に渡したが、結果は最下位だった。

康子は邪魔にならない場所へ移動し、座り込む。かっこ悪いところを李菜に見せてしまった。リレーが終わったら、李菜に何て声をかけようか。李菜への言葉を考えていると、足首がジンジンと痛くなる。患部も見ようとゆっくり靴を脱いで、靴下を下ろした。

「え……」

足首がどす黒く変色していて、腫れ上がっていた。じっと痛みを堪えている康子の様子に、周りの保護者が気付いて声をかけてくる。すぐに保育士がやってきて、康子は救護室に連れていかれた。