まとめ:自分の年金額は自分で作っていく時代へ

調査によれば、私たちに政府や制度への信頼がある程度あれば、保険料の負担も受け入れられる傾向があるそうです。
※参考:NIRA総合研究開発機構「NIRAワーキングペーパーNo.7 受益と負担をめぐる世代間の分断と政府への信頼」(2024年5月1日発行、竹中勇貴)(外部サイト)

例えば健康保険料については制度への理解や信頼が比較的高いので、保険料を払うことも納得する傾向があります。しかし年金制度については実際にもらう時期が遠い未来なので、理解や信頼が低く、負担に納得感が出にくいようです。

そうなると、年金制度についてはほどよく理解し、負担についての納得感を持つことがウェルビーイング的にも重要です。「負担だけさせられて、たいしてもらえない」と感じるのではなく、先ほど述べたように「破たんしないし、長生きする限りずっともらえるところがいい仕組み」とまず考えてみるのです。

確かに毎月の負担は大きなものですが、それは将来の年金額にも反映されていきます。実は、若い世代のほうがむしろ年金水準が高くなる可能性が、今回の年金財政検証結果で示されているのです。

「若い世代は年金が大きく減る」と思っていた人にとっては意外な話だと思いますが、厚生年金に加入する期間が長くなる影響で、男女ともに年金額が増える傾向があります。特に働き続ける女性が増えていく効果は大きく、若い女性の将来の年金水準は今の年金暮らしの女性の平均を大幅に上回るのです。

「本当に?」と思う人は「ねんきん定期便+公的年金シミュレーター」で自分の未来の年金額を試算してみてください。これから先も働き続ける人の年金額は相当アップすることが分かるはずです(ねんきん定期便だけ読むと「20歳から今まで」の保険料分の年金額しか表示されません。未来の保険料を考慮した公的年金シミュレーターのほうが実際の年金額に近くなります)。

「老後は真っ暗闇と思っていたけど、案外大丈夫かも!」と思えれば、これは日々の生活もちょっと楽しくなってきます。少なくとも未来に不安ばかりイメージしているよりぐっといいはず。

年金制度の理解とファイナンシャル・ウェルビーイング、実はたくさん接点があるのです。