年金制度は少し減るが、つぶれはしない。でも一生もらい続けることができる

国の年金制度に話を戻します。あなたも、もしかしたら「どうせもらえないんだろう」「つぶれるんじゃないの?」「たいした年金額ではないのだろう」というイメージを持っているかもしれません。

しかしこれは間違いです。今回の財政検証結果でも、破たんの可能性はほとんどないことが明らかになっています。給付水準の引き下げも、前回試算と比べて軽いものになる結果となっているほどです

昔、破たんすると声高に言っていた有識者やメディアの言っていたことの多くが、今では間違いだったと明らかになっています。例えば年金積立金が枯渇するという予言がありましたが、むしろ大きく資産を増やしており、200兆円をはるかに超える資産を持つ国は世界にアメリカくらいしかありません。

ただし、年金水準を少し抑えていく計画はあります。そうすれば収支のバランスが整うので破たんも絶対にありえません。そしてこの政策、すべての世代が対象なので、若い世代だけ減らされるわけではありません。さらに、減り具合もこのままいけば当初見込みより抑えられる可能性が出てきています。

そうすると、年金は「少しは減る」が「つぶれない」とまずは考えてみたいところです。

金額はどれくらいか、というとモデルの夫婦で月23万円くらいです(会社員と専業主婦モデルなので、夫婦ともに会社員であれば年金額はもっと増える可能性がある)。これは日常生活費をほぼやりくりできる水準となっていることが調査でも示されています。旅行などのぜいたくをしなければ困らないくらいの金額はちゃんと出るというわけです。

さて、この年金、長生きする限り何十年でも保障し続けてくれる約束となっています。自分の老後は何歳まで長生きできるか神様しか分からないことですが、30年でも40年でも国の年金は元気な限り支給し続けてくれます。納めた保険料の総額より多くなってもいいのです。働けなくなる老後生活を考えてみると、これほど助かる定期収入源はありません。

実際、あなたの両親や祖父母、親戚の高齢者の多くは、年金をもらって日々の生活をやりくりしているのではないでしょうか。「もうちょっと多ければね」とみな言うかもしれませんが、親戚がみな老後破産した、ということはないはずです。

国の年金制度を悪いものだとばかり考えているより、「まあ悪くないんじゃない?」「国もやることはやってくれるでしょう」と考えてみてはどうでしょうか。そのほうが、疑ってかかるよりあなたのウェルビーイングの実感をプラスにしてくれるように思います。