金融環境:日銀の追加利上げ 米景気後退懸念で後ズレへ
FRBは9月に利下げを開始する見通しです。市場で期待されている大幅利下げの可能性は小さいと見られますが、これで日本を除くG7国が揃って利下げ局面へ移行することになります。
日銀は先進国で唯一引き締め局面にあります。7月日銀会合では、大方の予想に反し3月のマイナス金利解除に続く利上げとなりました。植田総裁が利上げ継続姿勢を強く示したことから、会合翌日の市場では年内さらに1回、2026年半ばまでに計2回の追加利上げを織り込む等、利上げ期待が高まりました。
ただ、その後の国内株の急落、急激な円高、米景気後退懸念などを受け、追加利上げ期待は後退。2026年初までにあと1回程度の追加利上げを織り込む程度になりました。8月7日には、内田日銀副総裁が講演で姿勢転換を示唆。「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはありません」「当面、現在の水準で金融緩和をしっかり続けていく必要がある」と言明しました。
とはいえ、内田副総裁の言葉に対しては、金融市場が落ち着けば利上げ再開か? “当面”とはいつまで?との疑問が浮かびます。その答えは、米国景気次第となる見込みです。
内田副総裁は、展望レポートに示す『政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく』との方針は、景気回復・インフレ上昇という、日銀の『経済・物価の見通しが実現していくとすれば』との条件付きであると述べています。仮に、米国の景気後退が現実化すれば、経済・物価見通しは修正を余儀なくされます。マーケットが米国景気の後退懸念を意識するうちは、日銀の追加利上げ観測が高まる可能性は小さいと考えます。
■関連リンク Resona Investment Outlook (resona-am.co.jp)
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