2024年度後半の投資環境見通し:マクロ環境・金融環境

マクロ環境:米労働市場は“正常化” 求人数が維持されるか注視

米労働市場が軟化しています。 市場 は“悪化”を懸念しますがパウエル議長をはじめ FRB 高官の見方は“正常化”です。

下図では、失業率と求人率(求人件数÷(就業者数+求人件数))の関係性を示しています 。点線 の左上・右下への移動は、労働需要の強まり/弱まり(景気拡大/減速)を示します。2021 年に入り米経済がコロナ後の再開に向かう中 、 雇用ひっ迫で求人率は急上昇し、賃金・物価の上昇を招きました。求人率は2022年3月をピークに低下しますが、失業率の上昇は伴っていません 。過剰な需要(=求人)が“正常化”に向かう過程でもなお、労働需要が供給を上回る状態が続いたためです。

市場は、雇用の軟化が“正常化”にとどまらず“悪化”することを懸念しています。下図の通り、求人率は急上昇前の水準に戻っており、雇用は需要超過から均衡状態に戻ったと考えらえます。この先、FRBの利上げの遅延効果などで労働需要の減速に歯止めが掛からない場合、失業率が上昇し雇用“悪化”となる可能性にFRBも警戒を強めています。

鍵を握るのは需要(=求人)の動きです。FRBの利下げ開始により企業の業況見通しが改善すれば、雇用意欲は維持されると期待されます。また、米国の労働参加率はコロナ前を下回るなど構造的な人手不足による労働需要も存在します。この先、求人関連の指標が底堅さを保つかが最大の焦点と考えられます。

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