主要マーケットの見通し:株式市場
AI関連株は過度な期待修正で調整の余地残る
8月初の世界的株安の発端は、7月央に始まった米国大型ハイテク株の調整でした。今年の春以降、景気回復の勢いが緩慢に留まる中で、AI等の成長ストーリーを持つ米大型ハイテク株に物色が集中しました。ただ、マグニフィセント7(*1)と呼ばれるハイテク7社の予想PER(株価収益率)が33倍まで上昇するなど、割高感も高まっていました(下図)。この動きが7月11日発表の6月米CPI(*2)の大幅減速で一変。FRBの利下げ期待と将来の景気回復期待の高まりで、割高な大型ハイテク株から出遅れていたその他業種に物色の矛先が移りました。しかし、市場全体で見ると時価総額の大きい大型ハイテク株の下落の影響のほうが大きく、主要株価指数が下落し世界的なリスクオフの動きに繋がりました。ここに8月初めの景気後退懸念が加わり、株安が加速しました。
今後、米株式市場では、米国景気の先行きに加え、大型ハイテク株の調整がいつ一巡するかが焦点となります。ここまでの調整で、マグニフィセント7のPERは急上昇前の水準(28倍程度)を下回る27倍台まで低下しましたが、割高感が十分に解消したかについては評価が分かれるとみられます。市場では大手企業のAI関連事業の売上鈍化等から、巨額のAI投資に見合うリターンが期待出来るのか疑問視する投資家が増えています。AI関連株の高バリュエーション(*3)を支えてきた収益期待が揺らげば、PERはさらに切り下がる可能性があります。
大型株の調整がいつ一巡するかは、AI産業への期待次第となると見られます。成長期待が再び高まり株価が切り返すか、一段の調整を迫られるか、は慎重に見極める必要があります。
*1:マグニフィセント7=Alphabet(Google)、Amazon、Meta Platforms(旧Facebook)、Apple、Microsoft、Tesla、NVIDIAの7社
*2:CPI=消費者物価指数
*3:バリュエーション=企業の利益・資産などの企業価値評価
■関連リンク Resona Investment Outlook (resona-am.co.jp)
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