オール・カントリーもS&P500も7月からは大幅に下落しているが…

確かにオール・カントリーもS&P500も、それなりに基準価額は下げました。直近最高値から8月7日までの基準価格額の下落率を計算すると、

オール・カントリー・・・・・・▲15.0%
S&P500・・・・・・▲15.5%

ちなみに最高値を付けたのが、オール・カントリー、S&P500の両者とも7月11日です。短期間で15%超の下落率ですから、これはこれで確かに驚きですが、この間に米ドルは円に対して、10%ほど下落しました。両者とも為替リスクをヘッジしていないことを考えると、15%超に達した基準価額の下落の大半は、為替要因であることが分かります。

そう考えると、確かに今回の日本株の暴落は、下げ幅の大きさが衝撃的でしたが、おそらく新NISAで今年から投資を始めた人は、少なくとも日本株暴落の影響は、それほど受けていないと推察されます。

「株価暴落で高級車1台分を損した」などという話ももれ伝わってきますが、これは株式投資をしている人です。特に信用取引を用いて日本株に投資していた個人投資家のなかには、株価急落によって億単位の損失を被った人もいたと聞きます。

でも、それは新NISAでコツコツ資産形成をしている人たちとは、別世界の話です。今一度、自分が何に投資していて、今回の日本株暴落の影響をどの程度受けているのかを、冷静に分析してみてください。

確かに直近、急激な円高で基準価額は下げていますが、基本的に為替レートは一定のレンジで推移します。

そして長期的に見れば、多少円高が進んだとしても、為替差損をカバーしてあまりあるリターンを実現してきたのが、株式市場です。オール・カントリーやS&P500といった海外のインデックスファンドで積立投資をしているのであれば、今回の日本株の暴落について、それほど気に病む必要はありません。

この点、実は両ファンドの保有者は冷静だった可能性があります。オール・カントリーの日々の資金流出入状況を、受益権口数の前日比増減数で見ると、基準価額が下落した8月6日にかけて、

8月2日・・・・・・14億39万口
8月5日・・・・・・202億8351万口
8月6日・・・・・・13億3564万口

というように、受益権口数の前日比は増加しています。

同じくS&P500についても見てみると、

8月2日・・・・・・10億3436万口
8月5日・・・・・・125億4285万口
8月6日・・・・・・▲6億1536万口

となりました。受益権口数の前日比増減数から見ると、7月からの下落、そして日本株の暴落に関係なく、資金が継続的に入っています。

米国経済は今、景気後退局面入りするかどうかの瀬戸際です。その意味では今後、株価が調整することも十分に考えられるでしょう。

でも、その時に大事なのは、マーケットが下げた時でも淡々と買い続けることです。そして、少なくとも上記の数字を見る限り、それは実行されています。

前出の経済評論家の「撤退の一手です」などといった“戯言”は気にせず、投資を継続するべきです。