<前編のあらすじ>

剛典(54歳)は、2人目の息子も独立し、専業主婦の妻・幸(52歳)と二人暮らしになったことで、まだローンの残る一軒家が広くなったことを感じていた。

幸のこれまでの子育てをねぎらうために、少しいいレストランで食事をした。幸は子供が独立して、これからは何を目標に生きていけばいいの? と冗談めかして言っていたが、剛典はそれほど重くは受け取っていなかった。

ある日、剛典は寝室に落ちているボートレースの券を見つけた。幸に聞くと、友人に誘われて1回だけ行ってみたと言う。幸の様子に違和感を感じた剛典だが……。

●前編:「これから何を目標に生きていけばいい?」子育てを終えた妻…寝室に落ちていた“信じられない”モノの正体

夫に内緒でボートレースに行っていた

妻の幸がボートレースに行ったという事実は、ギャンブルに免疫のない剛典に少なからず衝撃を与えていた。それに舟券を見せたときの幸の反応は、いつもの妻とどこか違う気がして、心に引っかかっていた。

しかし剛典は、その話をわざわざ蒸し返すことはしなかった。1度納得した手前、改めて言い出しにくかったというのもあるし、何より妻の行動を逐一チェックするような小さい男だと思われたくなかったのだ。

だから剛典は、あの舟券のことは早く頭から追い出し、心に残ったモヤモヤも無視することに決めたのだった。