FRBに関して、潮目が変わったと思われる点が見つかりました。これまでアメリカの中央銀行であるFRBは、インフレが下がるまでは利下げしないと頑なな姿勢を示していましたが、金融緩和に近づく可能性を示唆する発言が出てきました。

6月24日、サンフランシスコ連銀のデイリー総裁が意味深なコメントをしました。ロイターによると、「リスクはインフレだけではない」と述べています。景気が悪化すれば問題であり、引き締めすぎてはいけないという認識を示しました。

 

デイリー総裁は、需要抑制の必要性を語りながらも、失業率について言及しました。現在の失業率は4%まで上昇し、ボトムの3.4%から0.6%上昇していますが、長期的に持続可能な水準を下回っているとのことです。FRBが考える長期の失業率見通し(自然失業率に近い概念)は4.2%であり、現在の4%はまだそれを下回っています。

デイリー総裁は、将来的な労働市場の減速が失業率の上昇につながる可能性を認めています。インフレがゆるやかに低下し、労働市場がゆっくりと「再均衡化」していく可能性を示唆しました。

デイリー総裁は、インフレの低下と失業率の上昇を「心強い」としながらも、持続可能な物価安定に向けてはまだ不確実性があるため、金融引き締め政策を続ける意向を示しました。しかし、インフレだけでなく失業率の上昇にも注目していることが明らかになりました。

前回6月のFOMCでは、失業率に対してかなり冷淡な見方をしていました。FRBは自然失業率を約4.2%と見ており、3月の見通しでは今年末4.0%、来年末4.1%、再来年4.0%としていました。しかし6月の見通しでは、今年末は変わらず4.0%ですが、来年末は4.2%まで上昇し、再来年は4.1%となっています。

 

 

 

実際の失業率は、昨年4月を底に確実に上昇を続けています。来週発表される6月の雇用統計で、今年末までにFRBの予想である4.0%を上回る可能性があります。

失業保険統計も注目されています。新規失業保険申請件数は、最近やや減少したものの、失業保険受給を継続している人の数は増加しています。これは失業者の増加を示唆しています。特に4月頃から失業保険の継続受給者数が確実に上昇し始めています。