仲直りのタッチ

その日の夜、真司は予定を変更して実家で寝泊まりをすることになった。

古い家屋には思い出が染みついていた。

夕食後、ほなみに頼んで、亮介と一緒に風呂に入る。亮介は俺との2人きりに緊張をしているように見えた。ぎこちなく体を洗い、そのまま広い湯船に一緒に入る。

そこで俺は亮介の頭をなでる。

「亮介、この前はごめん。お父さん、怒っちゃった。ごめんな」

それを聞き、亮介はうなずく。

「僕も、うそをついて、ごめんなさい」

「ウソもダメだし、怒っちゃうのもダメだよな」

亮介は恥ずかしそうに口を湯船につけて、ぶくぶくと泡を立てる。

「友達にはごめんなさいをしたのか?」

「うん、したよ」

「そうか、それならいい」

すると亮介が手を上げてきた。

「何?」

「タッチ」

真司は笑って、亮介とハイタッチをした。

仲直りのタッチ。

これがもっと早く真幸とできていればな。