なお、工場見学において私は、生産ラインそのものは勿論ですが、周辺情報も収集することを心がけています。例えば本社と工場の労働環境の違いが挙げられます。本社オフィスは立派なのに工場はボロボロのままというケースは身構えます。他にも出入り業者や社員、駐車場なども観察します。こうしてリアルでないと見えてこない実像が、輪郭をなぞる様に浮かび上がってきます。

左から奥、運用責任者伊井、シニアアナリスト末山、
シニアアナリスト/ESGリーダー原嶋

さて地域の様子についてですが、やはり活気を実感しました。

羽田~熊本の飛行機は木曜日にもかかわらず往復とも満席で、熊本駅に到着すると想像以上に外国人らしき姿を見かけました。地元の方によると、「県外ナンバーが増えた」「高級車を見かけるようになった」「渋滞がひどくなった」「中国語を聞く機会が明らかに増えた」「台湾人は家を買って定住する」「不動産が活発に取引されている」ようです。実際、帰宅時間帯になると工場近くに渋滞ができはじめました。公共交通機関の拡充や高速道路の新設などが重要になるでしょう。工場最寄りの原水駅では、何人も中国語(少数ながら韓国語も)を話している様子を確認できました。台湾からやってきた彼らをターゲットにしているのか、熊本駅近くには億ション(1億円越えのマンション)や高級ホテルが用意されています。半導体工場誘致の威力はもの凄いです。

原水駅
原水駅 電車到着時

原嶋と一緒に福岡の博多・天神エリアの大規模同時再開発「博多コネクティッド」・「天神ビッグバン」の各現場も確認してきましたが、規模が非常に大きく感じられました。半導体関連産業の九州オフィスなどがたくさん入居するのかもしれません。福岡の中心部のホテルは満室ばかりで難儀しましたが、ホテル併設型のオフィスの建設が目についたため、少しは需給バランスが改善されそうです。一方で同時にこれだけ建設していると、取り合いだと話題の電気工事士などはまだしばらく引っ張りだこになるだろうと予想されます。

九州エリアの未来にワクワクさせられた出張でした。