これなら65歳で暴落したとしても、71歳で回復してくれるということになります。回復するのを90歳まで待つというのは、ほとんどの人にとって厳しいと思いますが、「71歳くらいまでだったら、なんとか待てそうな気がします!」と感じる人が多いのではないでしょうか。私も、これくらいのリスクであれば、許容できそうだなと思っています。

リスクコントロールを学んで暴落に備えよう!

このように、株式だけでなく債券にも分散投資をすることで、私たちの投資のリスクをグンと抑えることができるようになるのです。

分散投資とは、「いろいろな種類の株式を買う」ことではなく、「株式以外の投資商
品、特に債券も買う」というのが分散投資の基本であると私は考えております。

ちなみに、株式だけでなく債券も買うといったような分散をすることで、リスクを抑える手法のことを、投資の世界では「リスクコントロール」と呼んでいます。
1つの銘柄や、1つの資産クラスに、資産を一気に注ぎ込まないで、複数の銘柄、複数の資産クラスに分散して注ぎ込む。これが、リスクコントロールなのです。

50代以降から投資を始める方には、ぜひこのリスクコントロールという概念を覚えておいていただきたいと思います。

リスクコントロールができていなければ、ある日突然、60%~90%も資産価値が暴落を起こし、それが回復するまでに何年もかかり、そのうちじぶんは80歳を超え、90歳で悶々とする……といったような絶望的な状況に陥ってしまうかもしれないのです。

人生100年時代と言われている今だからこそ、あなたは人生100年時代の「投資を長く続けられる」という恩恵を受けると同時に、「たまに起きる暴落に耐えられるリスクコントロールを学ぶ」という備えをしておかなければいけません。

さて、この分散投資をした場合に得られるリターンは、どのくらいでしょうか。
2003年9月末から2023年9月末までの20年間に株式と債券をそれぞれ国内と海外、4つの資産クラスに分散投資した場合、平均リターンは6.1%でした。

S&P500やオールカントリーだけに投資をした場合の11%や8・9%といったリターンに比べれば地味に見えるかもしれませんが、大暴落があったときの回復力の強さという点では、この投資方法を一番おすすめしたいのです。

●第4回は【安心して長生き。老後資金3000万円がゼロになる人、1200万円残る人の違いは?】で、自分年金戦略を解説します(6月25日公開予定)。

50歳ですが、いまさらNISA始めてもいいですか? 

 

鬼塚 祐一 著

出版社 フォレスト出版

定価 1,870円(税込)