「定年も近いのに、今から投資してもいいのでしょうか?」
ファイナンシャル・プランナーの鬼塚祐一さんの元には、50代からこんな相談が多数寄せられます。老後を堅実に生きるために、「50歳からは投資よりも貯蓄」という考えにとらわれ、なかなか踏み出せないようです。
そんな悩みに鬼塚さんは「まったく遅くはない」と答えます。実際に50代から投資を始め、成功した多数の例を見てきました。50代からおすすめの投資手法を4回に分けて解説してもらいます。今回は、「オルカン」こと「eMAXIS Slim 全世界株式」のような全世界株式(オールカントリー)や米国の代表的な株価指数「S&P500」に連動する投資信託の“落とし穴”についてです。(全4回の2回目)
●第1回:「50代は投資してはいけない」女性を失望させた有名投資系ユーチューバーの真意
※本稿は『50歳ですが、いまさらNISA始めてもいいですか?』から一部抜粋・再編集したものです。
人気金融商品の落とし穴
「オルカン」と「S&P500」。この2つの金融商品は、投資信託の一種です。投資信託というのは、そもそもが「分散投資」をしている商品なのです。金融のプロがいろんな銘柄を組み合わせるように買って運用しています。
「だったら、S &P500やオールカントリーでも分散投資していることになりませんか?」という声が聞こえてきそうですが、問題はこの2つの商品の投資対象の資産クラスが「株式」に限定されていることです。
これまで、投資対象は、大きく分けて株式、債券、為替商品、不動産、コモディティの5つがあるというお話をしましたが、S&P 500とオールカントリーは国と地域こそ違えども株式だけで構成されている投資信託なのです。
ですから、株式という資産クラスの中ではある程度分散されているけれども、投資対象全体で見ると株式だけに偏ってしまっているのです。株式に集中投資をしているとも言えます。 株式はハイリスク・ハイリターンという特徴があります。そのため、S&P500とオールカントリーはハイリターンが期待できる反面、ハイリスクな商品だということです。
かつて1929年に世界大恐慌というものがありました。当時、米国株がどれくらい下落したかご存じですか?
なんと9割も暴落したのです。