広島銀行の投信売れ筋ランキングの2025年3月のトップ3は前月と同じだった。トップに「世界経済インデックスファンド」で、第2位は「次世代米国代表株ファンド『メジャー・リーダー』」、第3位は「りそなラップ型ファンド(安定成長型)『R246(安定成長型)』」だった。前月第4位の「インデックスファンドS&P500(アメリカ株式)」が第8位に後退し、第4位には前月は第6位だった「日経平均高配当利回り株ファンド」が上がった。また、日本株市場の動きの2倍の値動きをする「日本トレンド・セレクト(ハイパー・ウェイブ)」がトップ10圏外から第6位にランクインした。
◆下落相場で下値抵抗力となる「債券」と「高配当株」
広島銀行の売れ筋ランキングで2024年11月から5カ月連続でトップになっている「世界経済インデックスファンド」は6資産(国内株式・先進国株式・新興国株式・国内債券・先進国債券・新興国債券)に分散投資して中長期的な資産成長をめざすファンドで、資産の組み入れ比率は国内・先進国・新興国の地域別GDP(国内総生産)の比率を参考に決定している。株式と債券の投資比率は50対50だ。同ファンドのパフォーマンスを新NISAの投資対象として人気が高い「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」と比較してみると、2月までは「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の方が上回っていたが、3月以降の下落局面では「世界経済インデックスファンド」の下落への抵抗力が発揮されてパフォーマンスが逆転する。
「世界経済インデックスファンド」は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」に世界債券を半分追加したようなポートフォリオといえる。世界的に景気が拡大傾向にあり株式市場が好調な場合は株式100%のポートフォリオの運用成績が優位になるが、3月以降のように世界景気の先行きが不透明となり株式市場が不安定になってくると、債券を半分保有していることのメリットが浮かび上がってくることになる。
一方、株式を投資対象としていても株式の配当利回りに着目した「日経平均高配当利回り株ファンド」は、全般下落局面でも市場全体とは異なる動きをする。国内株式市場の代表的なインデックスである日経平均株価に連動する「インデックスファンド225」は、2025年は一貫して下落トレンドの値動きとなり、3月下旬以降にその下落幅を大きくして4月7日には年初来で20%を超える下落率を記録した。これに対し、「日経平均高配当利回り株ファンド」は1月半ばを底にして3月下旬まで上昇トレンドだった。「インデックスファンド225」が急落した3月下旬以降は、さすがに値上がり率を吐き出すような動きになったが、株価が戻るタイミングでは遅れずに戻り歩調になっている。最大下落率も15%程度と「インデックスファンド225」よりも限定的だった。このパフォーマンス推移が「日経平均高配当利回り株ファンド」の支持が高まっている理由だろう。