「定年も近いのに、今から投資してもいいのでしょうか?」

ファイナンシャル・プランナーの鬼塚祐一さんの元には、50代からこんな相談が多数寄せられます。老後を堅実に生きるために、「50歳からは投資よりも貯蓄」という考えにとらわれ、なかなか踏み出せないようです。

そんな悩みに鬼塚さんは「まったく遅くはない」と答えます。実際に50代から投資を始め、成功した多数の例を見てきました。50代からのおすすめの投資手法を4回に分けて解説してもらいます。今回は、大暴落からいち早く回復するための株式以外の選択肢についてです。(全4回の3回目)

●第2回:「オルカン」「S&P500」は分散投資じゃない…? 50歳からは知っておきたい人気金融商品の弱点

※本稿は『50歳ですが、いまさらNISA始めてもいいですか?』から一部抜粋・再編集したものです。

「債券」にも投資していたら?

50代以降に投資を始める場合、株式だけに投資をするのはかなりのリスクがあります。

例えば、55歳で投資を始めて65歳のときにリーマンショック級の大暴落が起きたとしましょう。そこから、損失を取り戻すために10年以上かかるケースもあるということを考えると、株式で運用する投資信託だけに投資をするのはおすすめできません。

しかし、株式だけでなく、他の資産クラスにも分散投資をするのであれば、50代以降の投資であってもおすすめできます。ここからは、どのような分散投資を行えば良いのかについて、じっくり解説していきます。

投資商品には、株式以外にも債券、為替商品、不動産、コモディティといったものがありましたが、その中でも特に時価総額が大きいのが株式と債券です。債券の時価総額は株式を上回っていますから、実は債券は投資商品の中でもトップクラスに市場規模が大きいのです。

それゆえ、株式と債券をあわせて「2大投資対象」と呼ばれるのです。

仮に米国株式だけでなく、米国債券にも分散投資していた場合、1929年の大恐慌以降に資産価値が元に戻るまで何年かかったかのでしょうか?

配当ありの株式だけだと回復までに15年もかかっていたのが、株式と債券に分散して投資していた場合には、わずか6年2カ月で回復しているのです。

配当なしだと25年かかっていたのが、配当ありでなおかつ債券にも分散投資することで、なんとここまで回復期間が短縮されるのです。