税金逃れのタンス預金は違法

先述したとおり、タンス預金そのものに違法性はありません。ただし、タンス預金の目的が「税金を逃れるため」に行われたものなら違法です。

正確には、税金を逃れためにとった「行為」に違法性があるといえます。売り上げを隠す行為や生前贈与を隠し相続財産を実態より少なく見せる行為、贈与の実態を隠す行為などが考えられます。これらの税金逃れのための不正を行うために隠し持っていたタンス預金を金融機関に入金した場合、税務署に申告漏れや脱税を指摘される可能性があります。

というのも、金融機関は一定の取引があった場合に税務署へ支払調書を提出するからです。また、税務署が金融機関に対し調査を行うこともあります。これらの調査でタンス預金の由来に申告漏れが発覚した場合、修正申告が求められることとなります。悪質だと判断された場合、さらに重いペナルティが課される可能性もあります。

【所得税法第238条第1項】
偽りその他不正の行為により…(略)…所得税を免れ、又は…(略)…所得税の還付を受けた者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

引用:e―GOV法令検索 所得税法

【相続税法第68条第1項】
偽りその他不正の行為により相続税又は贈与税を免れた者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

引用:e―GOV法令検索 相続税法

NISA以前に、申告漏れは早期の解消を

タンス預金にかかわらず、税金の申告漏れがあるならできるだけ早く解消しましょう。税務署は強い調査権限を持っています。NISAを始めていなくても、発覚する可能性は十分にあります。

タンス預金はインフレや犯罪、災害に無防備な側面もあります。火災保険も、一定以上の現金は補償の対象外とすることが一般的です。これらに備えるためにも、タンス預金をNISAで使用するのは良い判断といえるでしょう。