“オルカン”は多くの人に高い利便性をもたらしているが…

その人気ぶりのせいか、最近は「オルカン一択で本当にいいの?」といった論調の記事が出てくるようになりました。

株式投資には興味がない。あるいは仕事などが忙しくて、自分で銘柄選択をする時間がない。とはいえ多少、株式も自分の資産に組み入れておきたい。そんな人にとって、オルカンは非常に高い利便性をもたらしてくれます。世界中のメジャーな株式に分散投資してくれますから、いちいち自分で個別銘柄を調べて投資するという手間が省けますし、世界経済の成長に連動してリターンを享受できます。

ただ、「オルカンに投資しておけば大丈夫」という短絡的な考え方は、しない方が無難でしょう。改めて言うまでもないことですが、オルカンもリスクはあります。

確かに、これまで安定的にリターンを上げてきたのは事実です。2024年4月30日までのリターンを見ても、過去1年で40.0%の値上がりですし、運用がスタートした2018年10月からを見ても、144.7%の値上がり率を実現しています。この数字だけを見れば、「オルカンに投資しておけば大丈夫」という気にもなるでしょう。

でも、オルカンだって大きく値下がりすることはあるという点は、留意しておくべきでしょう。過去の基準価額をたどっていくと、2020年2月20日に1万2216円まで値上がりしたオルカンの基準価額は、同年3月19日にかけて8320円まで値下がりしています。わずか1カ月で31.9%の下落率です。

もちろん、この時は「コロナショック」という、まれに見る株価急落局面だったので、そうしょっちゅう起こるようなことではありませんが、もしオルカン一択で運用するならば、時々、この程度の値下がりをかぶるリスクがあることは、理解しておく必要があります。

そのうえでのオルカン一択であるならば、それはそれで良いと思います。