老後資金4000万円問題は、なぜ2000万円から倍増しているのか

しかし、老後資金2000万円問題がほとんど話題にならなくなった途端、新たに浮上したのが「老後資金4000万円問題」です。なんだかこの5年間で、老後の不足資金額が倍増したという話です。出所がテレビの情報番組ですから、いささかウケ狙いのところはあると思いますが、「まあ、それはそうだよな」という話です。

要するにインフレ率を加味すると、将来的にはこのくらいの金額が不足するという話です。

たとえば今後、物価が年2%ずつ上昇していったとしたら、将来の不足金額はいくらになるでしょうか。現在価値で2000万円が不足するとしたら、年2%の1年複利で計算すると、10年後には2438万円、20年後には2972万円が不足するという計算になります。

もし物価上昇率が年3.5%だったら、10年後の不足金額は2821万円、20年後は3980万円になります。

つまり、何十年後に老後を迎えるのかによって、老後に必要な金額が変わってくるということです。仮に物価上昇率が年3.5%だとしたら、今の45歳が雇用延長込みの定年を迎える65歳の時には、3980万円が不足する計算になります。これが老後4000万円問題と言われるゆえんです。

ちなみに老後資金2000万円問題の場合は、毎月の不足金額を5万4520円で計算していましたが、仮に年3.5%の物価上昇率だとすると、20年後の毎月の不足金額は、10万8483円になります。ほぼ倍です。

ただ、この計算には落とし穴があります。今の45歳が65歳になった時の不足金が3980万円だとしても、それはあくまでもその時点での不足金です。その後も物価が年3.5%ずつ上昇を続ければ、老後を迎えてから10年後、20年後にかけての不足金額は、物価上昇率を反映してさらに増加していくはずです。20年後の毎月の不足金額が10万8483円だとしても、年3.5%ずつ物価が上昇すれば、その5年後には毎月12万8844円、10年後は毎月15万3026円が不足するという計算になります。