残業時間が減り、営業利益が増加するサイクル

ファッションビルのイメージが強い丸井グループですが、発祥は家具の月賦販売。現在は小売事業とフィンテック事業が主流です。店舗は業態転換を推進し、「売らない店」と位置づけ、ネット販売サービスの体験型テナントの誘致など、オンラインとオフラインを融合。アニメ、ゲーム、食、コスメなどのイベント開催を増やし、イベントが多い店として来店動機を創出。小売とフィンテックに新規事業投資などの「未来投資」を加えた三位一体のビジネスモデルを推進し、社会課題を解決する企業を目指して変革を続けています。

直近の業績は2024年3月期の売上収益2352億円(前年比8.0%増)、営業利益410億円(同5.8%増)、当期純利益246億円(同14.9%増)と3期連続で増収増益を達成し、堅調に推移しています。

社員一人当たり営業利益も高まっており、2019年3月期の757万円から2023年3月期には874万円にまで増加。一方で、1人当たり残業時間は月11時間(2008年3月期)から約5時間に半減しています(2024年3月期)。仕事=「時間の提供」から「価値の創出」へと考えを転換すべく、社員によるプロジェクト活動に取り組んだ成果です。

加えて、多様性を尊重する組織改革を推進。女性活躍推進プロジェクトでは、「女性イキイキ指数」という独自のKPIを掲げて取り組みを進めた結果、女性リーダー比率が20%(2014年3月期)から36%にまで上昇(2024年3月期)。男性社員の育休取得率も6年連続で100%を達成しています。

人的資本への投資で企業価値の向上を目指す

2023年6月、丸井グループでは定款に「企業理念の実践」を新設しました。会社の憲法ともいえる定款に「人の成長=企業の成長」という企業理念の実践を据えたことにグループの決意が見られます。企業理念の存在意義は、実践してこそあるのです。

自社だけでなく顧客、取引先、株主といったあらゆるステークホルダーと共にみんなの利益と幸せを実現する。ビジネスを通じた社会課題の解決と利益の両立を目指す。成長とやりがいを実感できる環境づくりに注力するその取り組みは、企業の在り方として多くの示唆を与えるといえるでしょう。