三菱重工業の株価が上昇しています。最高益を見込む今期(2024年3月期)の見通しを公表した2023年5月ごろから値上がりを強めました。それまで5000円前後だった株価は2024年2月に1万2000円を突破しています。好調な業績を評価した買いが向かっているようです。
【三菱重工業の業績】
売上高 | 純利益 | |
2022年3月期 | 3兆8603億円 | 1135億円 |
2023年3月期 | 4兆2028億円 | 1305億円 |
2024年3月期(予想) | 4兆4000億円 | 1900億円 |
※2024年3月期(予想)は同第3四半期時点における同社の予想
出所:三菱重工業 決算短信(外部リンク)
三菱重工は市場評価性(PBR基準)の基準から「JPXプライム150指数」に選ばれています。2024年2月には1:10の株式分割も公表しており、従来の10分の1の金額で投資できることから投資家の拡大が見込まれます(分割の効力発生日:2024年4月1日)。
三菱重工はどのような企業なのでしょうか。概要と事業内容を紹介します。また今期に受注が拡大した背景と、同業が減益する中で増益を見込む理由も押さえましょう。
三菱御三家の一角 戦闘機からエアコンまで手掛ける総合重機
三菱重工は総合重機の大手です。三菱グループが1884年に造船事業に乗り出した長崎造船所を祖に持ちます。三菱UFJ銀行や三菱商事と並び「三菱御三家」と呼ばれることもあります。
三菱重工の主力製品は大型の重機や設備です。発電プラントや航空エンジンといった産業向け大型構造物のほか、フォークリフトなどの物流機器、艦艇や戦闘機といった防衛関連製品などを製造しています。また家庭用エアコンといった比較的小さい製品も手掛けています。
【各セグメントの主な製品・サービス】
エナジー | 発電設備(火力、原子力など)、 航空エンジン、コンプレッサ |
プラント・インフラ | 製鉄機械、商船、 エンジニアリング、環境設備 |
物流・冷熱・ ドライブシステム |
物流機器(フォークリフトなど)、 ターボチャージャ、冷熱製品 |
航空・防衛・宇宙 | 航空機(民間・防衛)、 ミサイル、艦艇・特殊機械 |
出所:三菱重工業 有価証券報告書(外部リンク)
三菱重工は業界で最大手とみられています。主要な国内の総合重機と比べても受注高や売り上げはトップクラスです。海外向けの売り上げも大きく、海外売上高比率は57%に達しています(2023年3月期。出所:三菱重工業 地域別売上高(外部リンク))。
【主要な総合重機の業績(2022年度)】
受注高 | 売上高 | |
三菱重工業 | 4兆5013億円 | 4兆2027億円 |
川崎重工業 | 2兆0374億円 | 1兆7256億円 |
IHI | 1兆3661億円 | 1兆3529億円 |
住友重機械工業 | 9847億円 | 8541億円 |
※三菱重工業・川崎重工業・IHIは2023年3月期(国際会計基準)、住友重機械工業は2022年12月期(日本基準)
出所:各社の決算資料(三菱重工業(外部リンク)、川崎重工業(外部リンク)、IHI(外部リンク)、住友重機械工業(外部リンク))