――これまでと違う投資の機会は生まれそうですか。

金利がない世界からようやく脱却するわけですから、さまざまな面でマーケットが動いていく局面だと思います。

例えば債券であれば、ベース金利の上昇は資産クラスとしての投資妙味が増すことを意味します。10年金利がゼロだった数年前に比べると、現時点でも70bps前後まで上がっており、今後はさらに1%程度になるとの予測に立てば、キャリーという観点からも投資しやすい局面に入るでしょう。

また市場のボラティリティも高まりますので、債券に限らずさまざまな資産で投資機会が生まれると思います。

――日本経済の見通しはどんなイメージですか。

日本経済は停滞気味で、各種指標を分析すると特に家計の消費が弱いことがわかります。賃金の伸び率がインフレ対比で下回っており、実質賃金がかなりマイナスになっているのが主因でしょう。

もっとも実質賃金はこれからプラスに転じ、経済成長を下支えしていくと見られます。企業収益が絶好調かつ労働市場はタイトな状況となっており、企業から家計への分配が進みやすい環境が整っているためです。また、原材料や資源といったコストプッシュ型のインフレ要因は少しずつ解消していく見通しですから、物価の伸びを賃金の上昇で吸収できるようになり、実質賃金が上がりやすい環境になると思います。

――最後に、2024年の日本のマーケット動向を見据え、投資家がチェックしておくべきリスク要因についてお聞かせください。

先述のように賃金が上がることはほぼ確実ですが、それが物価に波及し続けていくのかを注視したいところです。物価とともに賃金も上がり、金利のみならず株価の上昇も見込めるわけですから、さまざまな資産クラスへのインプリケーションが極めて高い判断材料になるでしょう。