シリコン半導体の限界を超える?二次元材料のテープ開発に成功

日東電工の製品は半導体向けでも活用されています。シリコンウエハを薄く削るバックグラインド工程やチップ状に切り出すダイシング工程など、半導体の製造工程で用いられるテープ材や貼り合わせ装置を手掛けています。

2024年2月にはNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)や九州大学と共同で、世界初となる二次元材料向けテープの開発に成功しました(出典:NEDO 世界初、グラフェンなどの二次元材料テープを開発(外部リンク)。二次元材料とは、結晶が二次元で深さ方向に構造を持たない物質を指します。

現在の電子デバイスには主にシリコンが用いられていますが、シリコンの結晶は三次元で立体的です。パッケージに収納するには薄い方が有利なため薄く削りますが、シリコンは深さ方向に構造を持つため限界があります。そこでシリコンを二次元材料に置き換える研究が進められています。

日東電工らが開発に成功したテープは、二次元材料の転写に用います。二次元材料は原子の厚みしかないため破れやすいといった理由から、別の基盤上に移す転写というプロセスが必要です。新しいテープは従来の方法より正確かつ簡単に転写でき、また積層も可能です。さらに紙やプラスチックなどの素材にも転写できます。

NEDOによると、現在、二次元材料であるグラフェンへの転写は最大で4インチ(直径10ミリメートル)となっています。今後はより大きなウエハレベルの転写を目指し、二次元材料の実用化を推進するとしています。

シリコンウエハで世界首位の信越化学工業も二次元材料を研究しています。日東電工の新しいテープは未来の電子デバイスに大きく貢献しそうです。