・がん医薬のトップランナー中外製薬 期待の「新薬」は承認されるか?

「信越化学工業」は国内最大級の化学メーカーです。塩化ビニールと半導体シリコン(シリコンウェハ)で世界1位のシェアを持つことで有名な同社は、2022年3月期に純利益が国内化学メーカーで初めて5000億円を突破しました。

【信越化学工業の業績】

※2024年3月期(予想)は、2023年3月期時点における同社の予想

出所:信越化学工業 決算短信

【信越化学工業の株価(月足、2020年5月~2023年5月)】

出所:Investing.comより著者作成

信越化学は、JPX総研が2023年7月から算出する「JPXプライム150指数」の選出企業です。信越化学はどのような強みを持つ企業なのでしょうか。焦点を当ててみましょう。

重要分野で高シェアを握る大シリコンメーカー

信越化学は1926年に信濃電気と日本窒素肥料の共同出資によって設立されました。初期は石炭窒素や金属マンガンなどを手掛けていましたが、1953年にシリコーン(シリコーン樹脂)、1957年に塩化ビニールの製造に着手します。これらは住宅や自動車など幅広い分野で用いられる材料で、高度経済成長期に大きく成長しました。現在、信越化学はシリコーンと塩化ビニールで世界トップクラスのシェアを握っています。

同じく信越化学が世界首位級のシェアを持つ半導体シリコン(シリコンウェハ)は、1960年に製造を開始しました。あらゆる電子機器に組み込まれる半導体製品の材料で、信越化学は世界の約3割の生産を担っています。

【シリコンウェハの世界シェア(2021年)】

 

出所:経済産業省 半導体・デジタル産業戦略(令和5年6月)より著者作成

信越化学は他の製品でも高いシェアを獲得していますが、これは同社がさまざまな業界で顧客を獲得しているということです。特定の業界への依存度が小さいため、景気変動の影響を軽減させることができ、安定的な成長に寄与したと考えられます。

【信越化学工業が高いシェアを持つ主な製品】

出所:信越化学工業 アニュアルリポートおよび公式サイト